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欠けていたどこよりも強い「タイトルを獲るんだ」という姿勢。猛檄受けた國學院久我山が怒涛の攻めで11発勝利!

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國學院久我山高は大量11得点。FW鵜生川治臣は後半14分に2点目を奪うなどハットトリックを達成した

[5.21 全国高校総体東京都予選1次予選2回戦 日大豊山高 3-11 國學院久我山高 駒沢第2]
 
 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)東京都予選は21日、1次予選2回戦を行い、15年度全国高校選手権準優勝の國學院久我山高日大豊山高から2桁得点を奪って11-3で大勝した。國學院久我山は28日の1次予選決勝で都立高島高と戦う。

 3-2で折り返して迎えたハーフタイム、國學院久我山の清水恭孝監督はかなり厳しい口調で選手たちに檄を飛ばしたのだという。「タイトルを獲りたいという気持ちが誰よりも強くないといけない。準優勝という成績を越えるために勇敢なチャレンジをしていなかった」。

 15年度の全国準優勝は賞賛の声が多かった。美しいサッカーで白星を重ねたチームは高いレベルでの文武両道を実現。だが、サッカーも、勉強も全力で頑張り、両方の目標へ向かって日々を送っているということが、選手たちにどこか“甘さ”や“逃げ道”をつくってしまっていた部分もあったようだ。

 どこよりも強い気持ちでタイトルを目指さなければ、東京を突破して全国に出場することはできない。2年前を越える結果はその先にあるのだ。だからこそ、清水監督は「自分たちの意志でタイトル獲りたいというところへ変化して欲しい」と求めていた。

 試合の入りが悪かったことも確かだが、15分に左MF内田祐紀弘(3年)、20分に元日本代表MF北澤豪氏を父に持つFW北澤快(3年)が連続ゴールを決めたことで「行ける」という雰囲気が出てしまった。1タッチ、2タッチパスによる崩し、鮮やかなシュートで再三会場を沸かせていたチームに生じた油断。GK平田周主将(3年)も「甘いですね。点取っているから、どんどん悪い方向に行ってしまった」と振り返る。

 その隙をキープ力高い10番FW吉原航(3年)を中心に鋭い攻撃を見せる日大豊山に突かれてしまった。33分、不用意に中盤でボールを失うと、プレスが甘くなり、抜け出したMF加藤亮(2年)にGKとの1対1からゴールを奪われた。直後に右SB竹浪良威(2年)とのパス交換から仕掛けたMF三富嵩大(3年)のゴールで突き放したが、39分に再び加藤にDFラインのギャップを突かれて2点目を奪われてしまった。

 猛檄を受けて後半のピッチに立った國學院久我山の攻撃は、まさに怒涛と表現できるものだった。2分に右サイドから4人が絡んでの崩しで北澤がゴールを奪うと、4分にはFW木下陽(3年)の折り返しをFW鵜生川治臣(3年)が決めて5-2。7分には後半、特に危機感を持ってプレーしていたエース三富が圧巻の右足ミドルを突き刺し、その後もゴール方向へのショートコンビネーションを繰り返す國學院久我山は攻めるたびにチャンスを作り出し、10分に内田、13分にFW永藤楓(3年)、14分には鵜生川がゴールを破って9-2とした。

 そして、18分に北澤の仕掛けからPAへ飛び出した木下が左足で決めて大台に乗せる10点目。18分間で大量7ゴールを奪ったあとも攻め続ける國學院久我山は、29分にも竹浪のスルーパスでPAへ侵入した鵜生川がGKの逆を突く形で左足シュートを突き刺して11点目を奪った。日大豊山も終盤は落ち着いてボールを動かすと、39分に縦パスで相手の背後を取ったFW杉原大樹(3年)が左足でゴール。意地を見せたが、後半明らかに変わり、必死さの出ていた國學院久我山が大勝した。

 力のある日大豊山相手に11発。選手たちにとっては大勝発進したこと以上に意味のある、学ぶことの多い1勝となったようだ。三富は「インターハイを取るという意志があまり感じられなくて、監督にきつく言われて、後半は立ち上がりからみんなスイッチ入れてやったんですけど、初めからやらないといけない」と語り、北澤も「去年、タイトルを取れていなくてこのままでは今年も同じことになるぞと言われて。こういうところで常に気持ちを見せていかないといけない」と気を引き締めていた。

 13年度から選手権予選3連覇するなど東京都内でひとつ抜けた存在になっていたが、それは先輩たちが自分たちのスタイルと勝利にこだわって勝ち取ってきたものだ。東京都予選はここから厳しい戦いの連続。やってきたことに自信を持って、求めているものに正面から立ち向かって、必ず久我山の「美しいサッカー」でタイトルを勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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