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なぜ“恐怖の鬼ごっこ”に? 追い回された槙野「相手はプロレスや空手を…」

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済州の選手たちに追い回されたDF槙野智章

[5.31 ACL決勝トーナメント1回戦第2戦 浦和3-0(延長)済州 埼玉]

 後味は最悪だった。試合後を含め、両チーム合わせてレッドカード3枚、イエローカード8枚。延長後半から一部選手が激高し、前代未聞の乱闘劇となった。血相を変えた済州ユナイテッド(韓国)の選手たちに追い回されたDF槙野智章は「逃げました」と全速力でピッチを後にし、ロッカールームに逃げ込んだ。

 延長後半9分にDF森脇良太が値千金の決勝ゴールを決めた直後、ガッツポーズで喜びを示した槙野に対し、済州側が激昂。チョ・スンファン監督は「浦和の選手が我々のベンチの前に来て、刺激をするようなセレモニーをした」と述べ、ガッツポーズが挑発行為だと訴えた。

 もっとも、槙野自身はサポーターに向けたガッツポーズだったと主張し、「そりゃガッツポーズするでしょ。みんなでガッツポーズしたから、それが気に障ったんじゃないですか」。“恐怖の鬼ごっこ”が勃発した理由を聞かれても、「分かんないっす」と恐々だった。

 24日の第1戦では相手の鋭いカウンターから2失点。0-2で敗れたが、「手応えはつかんでいた。(得点は)0点だったけど、崩すところまではできた。フィニッシュの精度が足りないだけだった」と自信を持って決戦に臨んだ。相手の堅守速攻の攻撃スタイルを理解し、試合の進め方も「意思統一がハッキリしていた」という。

 90分間でアウェーゴールを与えず、2ゴールを奪って延長戦に持ち込むミッションをクリアし、森脇のゴールで2試合合計3-2と大逆転。2008年以来、9シーズンぶりとなるベスト8進出を果たした。「向こうは結果でもサッカーでも負けて、最後は乱闘になった。浦和はうまく逃げてかわした」と胸を張った。

 試合中には驚愕の“蛮行”もあった。ビブスを着たDFペク・ドンギュがベンチを飛び出し、ピッチに乱入。猛ダッシュでピッチを横断してMF阿部勇樹に飛び掛かり、ひじ打ちを食らわせた。この場面には「ビブスを着た選手がエルボーをするなんて、サッカーをやってきて初めて見た。考えられない。サッカーをしにきたはずだけど、相手はプロレスや空手を…」と首をひねり、「乱闘は恥ずかしいですね」と続けた。

(取材・文 佐藤亜希子)
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