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3-5-2のイメージはかつてのイタリア代表やユベントス。“ピルロ役”のMF多賀「自分がもっとボールに触って」攻める

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富山一高の司令塔・MF多賀啓志朗主将

[6.4全国高校総体富山県予選決勝 富山一高 4—0 水橋高 高岡スポーツコア]

 富山一高の大塚一朗監督は今年のチームの選手の特長を引き出し、欠点を補うために、3-5-2システムを採用している。FW坪井清志郎とFW大竹将吾の強力2トップや1ボランチの司令塔・MF多賀啓志朗主将、右ウイングバックの高浪陸(全て3年)ら個性派たちが躍動。プリンスリーグ北信越で首位に立っているチームは今回の総体富山県予選もライバルたちに差を見せつけて優勝した。

 3-5-2システムのイメージはEURO2012で準優勝したイタリア代表やMFアンドレア・ピルロが1ボランチ、MFアルトゥーロ・ビダルとMFポール・ポグバがシャドーの位置に並んでいた頃のユベントスだという。多賀は「最初は3バックの脇とかやられていたんですけど、今はみんな集中して自信持ってやっています。ウイングバックが高い位置取れるんでクロスからのヘディングシュートだったり、ボランチが3人いるんでそこで数的優位使ったり、外からも中からも行けたりしています」と強みについて口にする。

 今年の富山一はロングボールでの攻撃も、ショートパスでの組み立て、崩しも、セットプレーでの得点も「何でも」できるチームになってきている。この日は水橋高の厳しいチェックにリズムを崩す時間帯もあったが、大塚監督は「完成度はまだまだですけれども、もっとボールを回しがよくなればもっと良くなる」とこれからスケールアップしていく可能性を口にしていた。

 後半には1対1に強いMF前田拓哉と潰しの利くMF高縁海(ともに3年)の両シャドーがいずれもゴール。セカンドを拾って前に出ることもできるビダルとポグハの役割を担う2人が攻守で仕事をしてのけた。一方で、ピルロと同じ役割を担う多賀は「自分がもっとボール触ってきょうもボール回せれば良かったけれどまだまだ課題でした」と反省していたが、構成力の高い中盤の3人や、それぞれの個性を補完して守る3バックなど日本一を狙うチームが全国総体でどのような戦いを見せるか興味深いところだ。

 昨年から中盤の一角を担ってきた多賀は全国総体へ向けて「自分のゲームコントロールがどこまで通用するかとか体験してみたいですね」。選手権では「もっと悔いのないようにやりたかった」と自分を出しきれなかったと感じているだけに全国で個人、チームのサッカーを出し切る意気込み。団結力の高いという仲間たちと、挑戦している3-5-2のサッカーを極めて全国に臨む。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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