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[MOM444]東京学芸大FW岸寛太(4年)_「あれだけうまくいくとは」、狙い通りの開始早々弾

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背番号10が仕事を果たした

[6.4 関東大学2部L第8節 中央大0-1東京学芸大 中央大多摩C]

 東京学芸大中央大の一戦は開始50秒の得点で勝負が決した。開始早々にボールを回す中大がGK飯吉将通(1年=新潟西高)までボールを戻したときの一瞬の隙を、東京学芸大FW岸寛太(4年=FC東京U-18)は見逃さずにプレスを仕掛けた。

 岸は「あれだけうまくいくとは」と振り返る。猛プレスに焦った飯吉は大きくボールを蹴り出そうとするも、岸のスピードはそれを上回りブロックに成功。ボールを奪った背番号10の背中が静かにゴールへと流し込んだ。

「前節の中大対東海大戦(2-4)で同様の失点シーンがあったんです。それをビデオで見ていたので、最初行かないふりをしつつ自分の持ち味はスピードなので、あとはガッといきました」。取るなら最初と狙っていた攻撃が予想以上にハマり、開始早々の決勝弾となった。

 東学大の攻撃は2トップの岸とFW色摩雄貴(2年=鹿島ユース)のハイプレスが特徴的で、俊敏な2人が前線を走り、裏に抜けていくことで攻撃を展開させていく。この試合でも岸は前線での動きで存在感を発揮した。

 前半20分過ぎ、岸がハイプレスを何度も仕掛けて中大守備陣をかく乱させると、同41分、左サイドを独走し攻撃を仕掛け、直後にはゴール前から右足シュートを放った。中大守備陣の健闘によって得点にはならなかったが、持ち前の運動量とスピードをフルに発揮していった。

 前節の相手は上位に位置する国士舘大だったが、岸は欠場。終了間際の失点で接戦を落としていた。「前節は教育実習と体調不良で出られなくて、上位の国士舘大相手に敗れて勝ち点差を離されてしまった」。自らが不在中の敗戦に「気持ち面で落ちてもしょうがない状況だったけど、チーム全体の雰囲気を落とさないように気持ちをつくっていけた」とうまくチーム全体で悪い雰囲気を断ち切って今節に挑んだ。

 試合は拮抗したまま、1-0で東学大が勝利。岸は最後まで全力疾走を続け、後半40分に中盤で足を攣り担架で運ばれると、そのまま交代となった。檜山康監督も「今週復帰で久々のゲームになったけど、それでもよくやってくれた」と決勝点を決めた背番号10を労った。

 今節の収穫について、岸は「開幕戦の青学大戦(1-0)以来、ずっと失点していて。今回失点0に抑えられたことは全員が良いイメージを持てたと思います」と自らの得点ではなく守備面について手応えを語った。一方で攻撃面については課題を挙げ、「チームの持ち味である個人の突破やカウンターの精度をもっと上げれば、追加点は取れるはず」と自分への厳しさも見せた。

 勝ち点3を獲得して順位を5位に上げた東学大だが、1部昇格圏内の2位早稲田大とは勝ち点8差。「上位に食らいつけるように、魂懸けて、熱い戦いで前期残り3試合を勝ち取っていきます」と岸は真っ直ぐに語った。2012年度以来の1部昇格に向け、夏よりも一足早く、熱く激しく戦っていく。

(取材・文 石川祐介)
●第91回関東大学1部L特集

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