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[MOM2148]帝京三MF菊地開世(3年)_予選開幕前にBチーム降格も「ぶち破ってきた」MFが攻守で活躍。スーパーミドルも

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後半23分、帝京三高はMF菊地開世(2番)が追撃ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.18全国高校総体山梨県予選決勝 帝京三高 3-2(延長)山梨学院高 中銀スタ]

 試合終了まで残り時間20分を切ってスコアは0-2。再三クロスまで持ち込みながらも得点できない時間の続いた帝京三高だったが、MF菊地開世(3年)の素晴らしいゴールをきっかけに3点を奪い返して逆転優勝を果たした。

 後半23分、「0-2だったので打ってやろうと。来たら打とうと思っていた。思い切り打って、『頼む』と(願った)」という菊地が敵陣中央のこぼれ球を右足ダイレクトで叩く。すると、ボールはGKから遠ざかるようにスライドしながら左ポストを直撃。そしてゴールライン内側へと跳ね返った。

 流れを変えるスーパーミドル。このゴールの5分後に同点に追いつき、延長戦を制した帝京三の中で菊地の存在は大きかった。1ボランチとして先発した菊地は試合序盤、脇のスペースを突かれて苦戦したが、3-4-3へのシステム変更に伴い、サポート役を得ると特長を発揮する時間を増やしていく。

 幅広いカバーリング、要所で狙いすましたインターセプト、そしてスライディングタックルで相手の突破を一発で仕留めるなど、泥臭く身体を張った守りも見せて相手の攻撃を食い止めた。そして、攻撃面でもボールの配球役として機能。追撃ミドルも決めて勝利の立て役者となった。

「正直、自分能力ないんで、せめて戦うだったり、球際、ヘディング……それは誰にでもできることなんで、それは率先してやろうと。出たくても出られない選手がいる中で、表現できるのはピッチに出ている選手のみなので、そこは3年生の意地もありますし、表現しようと思いました」。スタンドで応援してくれる仲間たちのために戦い、100分間ハードワークを続けて、ともに全国切符を掴んだ。

 下級生時から先発を務めるなど期待される存在だったが、菊地は5月の関東大会予選後にBチームへ降格。「整理できていない。全部自分でやろうとしていた」(相良和弘監督)という点が理由だった。だが、Bチームの泥臭くプレーする姿勢を学び、また他のカテゴリーのチームとゲームする中で自分一人の力で勝つことはできないと学んだ。

「チームで戦わないといけないのに勘違いして、自分で何でもとやってしまって、自分自身も何もできていなかったし、チームとしても何もできていなかった」菊地はわずかな期間で変化。相良監督も「(自分で壁を)ぶち破ってきた。2、3週間で(Aチームに)上げました」と評したMFは、帝京三が山梨制覇するために欠かせないピースとなっていた。

 仲間たちとの日々の中で自分のできることに気づいたMFは「みんなに恩返しできるように、県外の選手と渡り合えるように、また、名が売れるようにしていきたいです。全国制覇目指してやっていきたい」という目標を持って全国大会に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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