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狙い通りにサイドから攻略して2発!鹿島学園が雨中の決戦制し、全国へ:茨城

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強雨の中、優勝を喜ぶ鹿島学園高イレブン

[6.21全国高校総体茨城県予選決勝 鹿島学園高 2-0 鹿島高 ひたちなか陸上競技場]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(7月開幕、宮城)への出場権を懸けた茨城県予選決勝が21日にひたちなか市総合運動公園陸上競技場で開催され、昨夏全国16強の鹿島学園高と全国4強入りした05年以来となる優勝を狙う鹿島高が激突。鹿島学園がMF梶野航平主将(3年)と10番MF橋口凛樹(3年)のゴールによって2-0で勝ち、2年連続7回目となる全国総体出場を決めた。

 ともに鹿嶋市に位置する両校によるファイナル。1月の新人戦準決勝では鹿島がPK戦で勝利していた。この日は強い雨の中、試合前から激しい応援合戦。80分間、スタンドから選手たちを後押しする声が響き渡っていた今回の“ライバル対決”は、鹿島学園が雪辱勝利を果たした。

 強い雨の中でスタートした試合は立ち上がり、鹿島学園が押し込んだ。柔道などで鍛え上げてきたという身体的強さを持つFW富岡大智(3年)が前線でボールを収める鹿島学園は、そこから「相手のSBから崩して、CBを引き出す」狙いを持った攻撃を展開。11分には右ロングスローのクリアを拾った右SB水野志乃哉(3年)がクロスを上げる。鹿島GKがパンチングしたが、クリアが甘く、PA外からこれに猛然と走り込んだ梶野がダイビングヘッド。その一撃がゴールを破り、鹿島学園が先制した。

 鹿島は内野浩監督が「入り方が悪すぎました。パワーに押されてしまった。(また)新人戦で、PKで勝ってやれるという自信がちょっとしたスキになった」と分析する立ち上がり。雨もあってシンプルに前線へボールを預けてくる鹿島学園に押し込まれてしまう。鹿島は13分に左オープンスペースへ抜け出したFW古明地巧実(3年)がシュートまで持ち込んだが、その後も鹿島学園が主導権を握る時間帯が続いた。

 鹿島学園はグイグイと前に出る富岡、積極的に攻め上がってくる水野、そして橋口やFW金原朝陽(2年)が仕掛けてCKやFKを獲得。また左サイドから中央へ潜り込んでくるMF飯塚寿輝也(3年)がシュートシーンに絡む。一方の鹿島は対応が後手となってしまい、なかなかリズムに乗ることができなかった。

 それでも鹿島は前半30分頃からボールを保持する時間を増やし、MF清瀬郁哉(3年)や古明地の仕掛け、セットプレーから反撃。後半立ち上がりもセカンドボールの攻防戦で優位に立ち、相手が攻め切る前にボールを奪い返すなど立て直していた。

 だが、鹿島学園は16分、左サイドでボールを持った金原が縦へスルーパス。これに走り込んだ富岡が冷静にグラウンダーのラストパスを入れる。最後は、GKの鼻先でボールをコントロールした橋口が左足でゴールを破って2-0とした。

 狙い通りにサイド攻撃から加点した鹿島学園は18分にも左FKから橋口が決定的なヘディングシュート。鹿島はこれをGK太田兼司(2年)がビッグセーブで凌ぐと、逆に21分には右FKからMF八木優真(2年)の放ったバイシクルショットがクロスバーを叩く。終盤は開き直って前へ出て攻めた鹿島が鹿島学園を押し込んだ。
 
 そしてCK、FKを増やした鹿島だったが、鹿島学園の守りは雨中で判断良くセービングしていたGK稲津右京(3年)や高さのあるCB神太一(3年)、CB佐藤悠(2年)中心に堅く、相手に決定打を打たせない。鹿島学園は今年、プリンスリーグ関東に復帰し、Jアカデミー勢や前橋育英高、流通経済大柏高など高体連トップクラスとの厳しい戦いの中で「粘り強く耐える。タフになって来ている」(鈴木雅人監督)。試合終盤、強まる風雨の中で鹿島は、CB森島陸主将(3年)を前線へ上げて1点をもぎ取りに来ていたが、タフに守りきった鹿島学園が2-0で勝利した。

 鹿島学園の梶野は「去年は(全国大会)ベスト16だったので、それを越えてどんどん上に上っていきたい」と全国総体の目標を掲げた。また、鈴木監督は強敵との対戦が続くプリンスリーグでは受け身になる試合が多いという中、全国総体で「自分たちがどのくらいなのか、トライして欲しい」と期待する。

 昨年は全国で2勝し、3回戦ではその後選手権で優勝した青森山田高を大いに苦しめている鹿島学園。橋口は「練習からしっかり声出して、走るところだったり、球際しっかり行けば青森山田とか強豪校にも対抗できると思う」。最大目標の選手権へ向けて、チャレンジして、夏も昨年以上の成果を手にする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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