beacon

7部相当いわきFCの快進撃はまだまだ続く…J1札幌相手に驚異の5発で延長死闘に決着!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

いわきFCが札幌を延長戦の末に下した

[6.21 天皇杯2回戦 札幌2-5いわきFC 札幌厚別]

 天皇杯の2回戦が21日に行われた。札幌厚別公園競技場ではいわきFC(福島県1部)がJ1の北海道コンサドーレ札幌を延長戦の末に5-2で勝利した。7月12日に行う3回戦は清水エスパルスとの対戦になる。

 今季は5年ぶりにJ1を戦う札幌だが、リーグ戦は苦戦。現在5連敗中で降格圏手前の15位と厳しい戦いが続いている。リーグ戦の合間の天皇杯はメンバーを大幅に変更。17日の鹿島戦からDF福森晃斗以外の10人を変更。MF小野伸二や若手選手がスタメンに並んだ。

 一方の福島県社会人リーグ1部(7部相当)のいわきFCは、県予選決勝でJ3の福島ユナイテッドFCを撃破。株式会社ドーム(アンダーアーマー、DNS)の全面サポートを受けて成長を続ける強化2年目の新興クラブが、J1に挑戦した。怪我から復帰したDF山崎海秀が先発するなど、現状のベストメンバーが組まれた。

 試合開始直前に降り出した雨も徐々に強さを増して行き、選手たちの戦いを難しくさせた。ただやはりと言うべきか、ボールを保持して試合を進めたのは札幌だった。しかし前半8分の小野のFKからMF菅大輝が狙ったミドルシュートはGK坂田大樹の好セーブに阻まれる。同33分には小野のCKを上原がヘディングで合わせたが、MF植田裕史にライン上でかき出された。

 いわきFC側から見れば、我慢の展開になった。時折カウンターからチャンスを作るものの、前半11分のFW平岡将豪のシュートが大きく枠外に外れるなど、精度を欠いてしまう。終了間際のアディショナルタイム2分にはCKから平岡がヘッド、そして跳ね返りを山崎が強烈シュートで押し込むが、ゴールネットを揺らすことは出来なかった。

 後半開始から両チームが動きを見せる。札幌は小野に代えてFW金園英学、いわきは前半動きの悪かったFW吉田知樹を下げてFW小野瀬恵亮を投入。さらにいわきは同10分にFW高柳昂平を下げてFW菊池将太をピッチに送り込む。両チームが前線の構成を変えて、勝負の後半に臨んだ。

 しかしスコアはなかなか動かない。札幌は後半25分、浮き球パスでDFの裏に抜けた金園がゴールネットを揺らしたが、わずかにオフサイド。札幌が押し込みながらも、いわきのゴールを割れない展開で試合は進む。すると同31分、左サイドからボールを持ち込んだいわきFCは、MF金大生のシュートがオウンゴールを誘発。ついに均衡を破った。

 ただ一度動きを見せた試合はここからすごい展開になる。意地を見せたい札幌は後半38分の内村のヘッドはGKの好セーブに阻まれたが、同45分、ゴール前の混戦をヘイスが押し込み同点に追いつく。しかし同アディショナルタイム4分、今度はいわきがFKから金が押し込んで勝ち越しに成功。勝負は決したかと思われたが、札幌が直後のプレー、ラストプレーでヘイスがこの日2点目を決めて追いつき、延長戦にもつれ込ませた。

 体力勝負となった死闘。しかしこの展開は、日本のフィジカルスタンダードを変えることをチームコンセプトに掲げるいわきFCにとってはお手の物だった。延長前半8分、クロスボールからエリア内で札幌の選手のハンドを誘発。これで獲得したPKを平岡が豪快に蹴り込み、3度目のリードを奪う。直後の菊池のシュートはわずかに左に外れたが、J1の札幌を押し込み続けた。

 さらに延長後半9分、いわきFCはカウンターからボールを持ち込むと、菊池が左足でループシュートを決めて勝利を決定づける。同15分には小野瀬がダメのダメを押す得点を記録。世界的に見ても例を見ない独創的な強化を進める強化2年目のいわきFCが、J1相手に驚異の5得点を記録して、3回戦進出を決めた。3回戦の相手な清水エスパルスとなる。

(取材・文 児玉幸洋)
●第97回天皇杯特設ページ

TOP