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“異端クラブ”いわきFCが延長戦でJ1を圧倒「ジャイアントキリングではない」

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いわきFCが日本のサッカー界の常識を変える

[6.21 天皇杯2回戦 札幌2-5(延長)いわきFC 札幌厚別]

「気持ちいい!」「サイコー!」。イレブンの表情から充実感があふれる。福島県リーグ1部のいわきFCが、J1の北海道コンサドーレ札幌を下す大波乱を起こした。

 しかし田村雄三監督に言わせれば、大波乱ではないという。「語弊がないように受け取ってもらいたいが、試合前のミーティングで札幌を破ることは決してジャイアントキリングではない、お前たちは絶対にやれると送り出した。選手は逞しかった」。7部相当、福島県社会人リーグ1部を戦うアマチュアクラブを率いる指揮官のコメントとは思えないほど、自信がみなぎっていた。

 “異端クラブ”いわきFCを取り巻く環境はすでにアマチュアレベルではない。いわきFCは株式会社ドーム(アンダーアーマー、DNS)の全面支援を受けて、「いわきを東北一の都市にする」という理念のもとで、16年より本格強化を開始。特にハード面の整備はJ1クラブをも凌駕する勢いで進められ、昨年11月にはアンダーアーマーの物流拠点である「ドームいわきベース」の敷地内にサッカーコート1面と、フットサルコート2面が整備された「いわきFCフィールド」が完成。商業施設が併設された巨大クラブハウスも建設した。

 さらに選手たちへのサポートもプロ顔負けだ。選手たちは普段はドームいわきベースで働きながらサッカーを続けているが、サッカー用具はアンダーアーマーの製品が全支給。DNSからはサプリメントが全支給され、「日本のフィジカルスタンダードを変える」をコンセプトに革命を起こそうとしている。

 そして目に見える形で成果も現れている。10代から20代前半の伸び盛りの選手たちのほぼ全員が体重増に成功。「僕たちはサッカーをするより筋トレをしている時間の方が長い」と苦笑いを浮かべるDF山崎海秀も、「技術面ではコンサドーレさんの方が上でしたが、気持ちだったり、走る部分で圧倒出来たのかなと思います。そこはすごく自信になりました」と胸を張る。

 強化1年目の昨年は福島県社会人リーグ2部では圧倒したが、全国レベルの大会ではまだまだ力の差を感じさせることがあった。しかし半分ほどのメンバーを入れ替えるシビアな面もみせた今季は、大幅なチーム力アップに成功。単純な戦力アップはあったが、FW菊池将太が「いろんな意味で注目されると思うが、いわきFCはまだプロでも何でもない。アマチュアのサッカーチームとして今まで通りの姿勢で成長していくだけです」と力強く話すなど、既存選手の意識の高さも無視できない。確実に、着実に、いわきFCは全国レベルの強豪へと成長を遂げている。

(取材・文 児玉幸洋)
●第97回天皇杯特設ページ

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