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真岡の仲間たちが果たしてくれた約束。左足骨折で全国欠場のエース郡司は「この思いに応えて」冬の活躍誓う

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真岡高のエースFW郡司侑弥は、ケガを乗り越えて選手権で仲間たちを全国へ導くことを誓った。

[6.25全国高校総体栃木都予選決勝 栃木高 1-4 真岡高 栃木グ]

 約束通りに全国切符を勝ち取ってくれたチームメートたちの歓喜の中で、真岡高のエースFW郡司侑弥(3年)は決意を新たにしていた。

 今年の栃木県を代表するアタッカーである郡司は、総体予選3回戦でクロスからシュートを打った際に相手選手と激しく接触。左足スネの骨2本を骨折する重傷を負ってしまった。全治まで2、3か月という大ケガ。これによって残りの総体予選、全国総体の欠場が決まった。

「インターハイに合わせて来ていた。自分的にやりたかったです」と郡司。真岡OBである兄2人の背中を追って真岡へ進学した郡司は、毎日自転車で18kmの道のりを自転車通学し、トレーニングで力を磨いてきていた。

 誰より全国出場に懸けて取り組んできたエースの思いをチームメートたちが受け継ぐ。エースの負傷離脱後、仲間たちが次々に決意の丸刈り。郡司の不在によって前線のタメができなくなる中、川上栄二監督が「(代役として)誰が適正か見極める」ために、選手たちと話し合い、一体となって勝つための策を考え、個々が「郡司の分も」と意識を高めてピッチで駆け回った。

 そして決勝まで勝ち上がった真岡はこの日、今大会初先発のFW齊藤遼平(3年)が2ゴールの活躍。また今大会のラッキーボーイ、FW根本晋太郎(3年)もゴールを決めるなど、FW陣が活躍して快勝した。齊藤は「本当に郡司のためにみんなでやろうと言っていて、みんなでいつも以上の力が出せたと思います」と振り返り、司令塔のMF金澤礼弥(3年)は「郡司がいなくなって逆に意識が上がりました。みんなも盛り上がっていた」と説明。「郡司のために」全員で戦い、彼らは「郡司を絶対に全国へ連れて行く」という約束を果たした。

 郡司は優勝後、「(決勝戦前に)自分の絶対に行って欲しいという気持ちを伝えて、オレのためにとやってくれて、凄い嬉しかったです」と仲間たちに感謝。同時に口にしたのは仲間たちへの恩返しだ。

「みんな気持ちを持っていて、凄いいいプレーをしてくれた。絶対に選手権でこの思いに応えて恩返ししたいです。どんなボールでも、気持ちで突っ込んで。最初は怖かったりすると思うんですけれども、みんなやってくれているんで、気持ちで突っ込んで、いっぱい点取って勝ちたいです」。

 選手権予選は足にボルトを入れたままでのプレーになる。負傷の嫌なイメージも頭の中に残っているだろう。だが、自分のために全力で戦い、約束を果たしてくれた仲間たちに今度は自分が応える番。全国総体ではできる限りのサポートをしてチームに貢献し、選手権では必ず自分が全国へ連れていく。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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