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[プレミアリーグEAST]市立船橋は未勝利続く状況も内容向上。「このチームの未来が見えたゲーム」

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鋭い動きで対戦相手の脅威となった市立船橋高FW福元友哉

[7.1 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 柏U-18 2-0 市立船橋高 日立柏総合G]

 0-2で敗れ、プレミアリーグで今季初白星を挙げられなかった市立船橋高だが、後半は圧倒していた時間帯が多く、朝岡隆蔵監督は「悲観はしていない」と第一声。そして、「このチームの未来が見えたゲーム」と多くを表現できていた試合を評価していた。

 立ち上がりは相手の攻撃を警戒してリスクの少ない試合運びをしていたが、その後徐々にボールを持つ時間を増加。FW福元友哉(3年)への縦パスやスペースへの配球を起点にそこからダイレクトのパス、ギャップへ走り込む動きを交えた崩しなどで相手ゴールを脅かした。

 30分を過ぎるとボールを動かす時間をさらに増やしたが、ビルドアップの中で意思疎通ができていない部分などがあって攻撃が停滞。指揮官が「想定外」というほどミスでボールを失うシーンが多かった。それでも、MF桧山悠也(3年)が身体を張ってカウンターを食い止め、MF井上怜(2年)やMF平川孟人(3年)がインターセプトから攻め返して決定的なチャンスを作り出したが、得点に繋げることができず。逆に後半6分、11分と連続失点してしまう。

 0-2となった後、柏U-18が失点への警戒心を強めたこともあって、市立船橋は主導権を握って攻め続けた。前線では福元が凄みのある動き。スペースへの鋭い動き、強さも発揮するなど、個で相手の守備網に穴を開けるようなプレーを連発していた。また、U-18日本代表の左SB杉山弾斗主将(3年)が自分で取り返そうと積極的にシュートを打ち込む。細かくボールを動かしながらフリーの選手を作り出し、相手の背後へパワーを持ってアタックする攻撃を繰り返していた。

 だが、柏U-18の守りは堅く、2点ビハインドの展開の中で1点を奪い返すことができない。徐々に気落ちしてしまう部分もあった。交代出場した選手がチームを加速させることができない部分もあった。また、市船では珍しく、足を攣らせる選手も続いて発生してしまうなど、柏U-18を飲み込むことができなかった。

 CB杉岡大暉(現湘南)やCB原綺輝(現新潟)、MF高宇洋(現G大阪)らを擁して全国高校総体を制した昨年はチームのベースが確立されていた。その中でシステムや選手の配置などあえて負担がかかる状況を作り出して、個を伸ばしたり、打開する術を身に着けさせながらチームをレベルアップ。だが、今年は拠り所になる部分がまだない。内容を伴った勝利をやり遂げる力もまだ表現できていない。

 総体予選は内容よりも結果にこだわって全国切符を獲得した。その中でこの日、内容面で「未来の見えたゲーム」ができたことは前向きだ。「チームのクオリティは上った」と朝岡監督。今後、自信を身に付け、要所で相手に勝り、厳しい戦いで勝利していくことができるか。積み上げのために、ある程度固定した陣容で戦うことも視野に入れながら、まずは残留圏内浮上を目指して、勝ち点を積み重ねていく。

(取材・文 吉田太郎)
●2017 プレミアリーグEAST

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