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青年監督テデスコがシャルケにもたらすもの…期待できることとは?

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シャルケは青年監督の就任で変わるのか

 6月21日の12時、ドメニコ・テデスコシャルケの新監督として正式に紹介される前、報道陣の多くは頭をひねっていた。これまで、シャルケの指揮官としていったい何人に見てきたことだろう。「俺の知る限りではテデスコで24人目だ」と勘定する者がいる一方で、多くの者はすでに数えるのを諦めていた。いずれにせよ、ひとつの点で全員の意見が一致していた。つまり、あまりにも多すぎる。

 ここしばらくシャルケでは大勢の監督の交代劇があり、その中にはフーブ・ステフェンスやミルコ・スロムカやロベルト・ディ・マッテオユップ・ハインケスといった多彩な面々がいたにもかかわらず、まだテデスコのようなタイプの監督はいなかった。彼より若い監督は一人もいなかったし、特に経験値で言えば、この31歳の駆け出しの監督ほど経歴に書くことが少ない者もいなかった。

 だが、これらの事実がFCエルツゲビルゲ・アウエの前監督テデスコにとってネガティブな意味を持つと考えるとしたら、それは間違いというものだ。確かな根拠は存在する。

「テデスコの持つコンセプトこそ最近のシャルケに切実に求められていたパズルのピースなのではないか」という期待を抱いているのは、シャルケのSDであるクリスティアン・ハイデルだけではないのだ。

「テデスコは非常に戦術に精通しているし、任されたチームを成長させる力を持っていることは証明済みだ」とハイデルは力強く語り、全体として本物のコンセプトに欠けていた前任のマルクス・バインツィアル時代に比べてテデスコが何を改善すべきかを明確にした。

■キーポイントはコミュニケーション

 戦術面のほかに、選手との人間関係を築くという点で、この若手監督には大きな期待がかかっている。ハイデルから「人付き合いのうまさ」や「コミュニケーションにおいてオープンな姿勢」を評価されているテデスコは、選手との関係を良好にしつつ、決断をはっきりと伝えることを自らのやり方としている。

 なぜスターティングメンバーやベンチに入れないでいるのかを、選手一人ひとりに別々に話し合うのは、テデスコにとってごく普通のことだ。しかし、苛酷なプロの世界にあって、これはまったく異例のことである。そして、イェフヘン・コノプリャンカを巡る騒動を経た後の今なら、前指揮官のバインツィアルはまさにこの点に問題を抱えていたことが明らかになる。

 テデスコは31歳という若さのため、自らが率いる選手の多くとは同世代となる。つまりあまりにも厳しすぎる権威主義的な指導スタイルをすることはなく、本人も良しとはしていない。監督自身より3歳年上のナウドのような選手もいることを思えば、厳格な司令官として登場するのは、あまり正しいやり方とは言えないだろう。だからこそ、テデスコは最初の練習の前に数人の選手と話し合う機会を持ったし、すでにチームのメンバーと親しい言葉を交わせる間柄になっている。

 しかし、傍から見たチーム状況が良好だったとしても、テデスコの指揮下でシャルケが順位表のどこに位置するかを予測することはできない。何を語ろうと、それが実際の結果によって示されなければならないのは当然のこと。だが、今シーズンはまた、再び胸をときめかせながらゲルゼンキルヘンに視線を送ることができるだろう。テデスコにはシャルケを成功に導くポテンシャルがあるのだから。

 若く、親しみやすく、戦術的に明確なコンセプトを備えた、そんな監督は今までシャルケにいなかったし、ひょっとするとそれほど手軽に手に入る人材ではないかもしれない。シャルケが上の方の順位でシーズンを振り返ったとき、内心そう思うことになっても、何ら不思議はない。

文=ロビン・ハック/Robin Haack

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