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[プリンスリーグ関東]球際、切り替え徹底し、エースがゴラッソ2発!三菱養和SCユースが首位・前橋育英撃破!!

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前半34分、FW中村敬斗(10番)のゴールを喜ぶ三菱養和SCユースイレブン

[7.8 高円宮杯プリンスリーグ関東第8節 三菱養和SCユース 2-0 前橋育英高 三菱養和会調布G]

 8日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プリンスリーグ関東第8節が各地で行われ、5勝1分1敗で首位の前橋育英高(群馬)は7位・三菱養和SCユース(東京)と対戦。三菱養和SCユースがU-17日本代表FW中村敬斗(2年)の2ゴールによって2-0で勝った。前橋育英は3位後退。一方、3勝2分3敗とした三菱養和SCユースは4位へ順位を上げている。

「試合前、(首位の)このチームに勝って自信をつけようぜと言っていました」。三菱養和は増子亘彦監督の檄に応える形で気迫溢れるプレー。前半、最終ラインからの丁寧なビルドアップやCB遠藤光、左SB廣川虎太郎の縦パスからFW林壮真、MF松川隼也(全て2年)のスピード、中村の突破力を活かした速攻など狙いとしていた攻撃を発揮した一方、CB佐々木陸生主将(3年)が「監督からも球際、切り替え、競り合いのところは毎日言われている。自分たちはこれをしっかりできなかったら難しい」という球際の攻防や、ゴール前の際の部分で良く身体を張るなど、勝利への執念を感じさせるような守備も試合を通じて見せ続けて首位から勝ち点3をもぎ取った。

 前橋育英はこの日、いずれも負傷のため、注目CB角田涼太朗(3年)がベンチ外となり、日本高校選抜の左SB渡邊泰基とMF田部井悠(ともに3年)がベンチスタートとなっていた。それでも立ち上がり、日本高校選抜FW飯島陸やFW宮崎鴻(ともに3年)ら前線のコンビネーションで相手の守りを切り崩すようなシーンも作る。

 だが、三菱養和はGK川島康暉(3年)が判断良い飛び出しを見せていたほか、MF田部井涼(3年)の左足ミドルや抜け出してきたMF高橋尚紀(2年)の決定的な一撃をファインセーブ。またCB佐々木やCB遠藤の好カバーリングなどもあって得点を許さない。

 苦しい時間帯を川島中心に凌いだ三菱養和がエースのゴラッソ2発で前橋育英を突き放す。28分、三菱養和は右サイドから仕掛けたMF長谷川佳輝(3年)がFKを獲得。キッカーの中村は当初、中央へのクロスを蹴り込む素振りを見せていたが、狙いはシュートだった。ポスト右外からゴール右隅へ落ちるFKを見事に沈めて先制点。相手の意表を突くFKで先制点を叩き出した。

 さらに34分、三菱養和はプレスバックした中村が右サイド後方でボール奪取。一気に持ち上がった中村を起点にカウンターを仕掛けた三菱養和は、右サイドを縦に突いた長谷川がクロスを上げる。これは前橋育英DFが中央へクリアしたが、その先にいたのはセカンドボールを狙っていたという中村。10番が右足の弾丸ミドルをゴール左上隅に突き刺して2-0とした。

 三菱養和はMF山田陸(3年)やMF冨久田和真(2年)らがセカンドボールを良く拾っていた時間帯に大きな2得点。一方、前半終了間際に中村が迎えたビッグチャンスをGK湯沢拓也(3年)がかき出して2点差を維持した前橋育英は、後半開始から田部井悠とFW榎本樹(2年)、11分には渡邊も投入して攻勢を強める。その前橋育英は右SB後藤田亘輝(3年)のアーリークロスから田部井悠がヘディングシュートを放つなど反撃するが、木曜日まで期末考査があった影響もあってか、動きのキレや連携面の良さが出ず、どこか覇気を欠くような戦いになってしまう。

 それでも終盤、MF五十嵐理人(3年)の仕掛けや中盤での奮闘光った田部井涼を中心に攻めた前橋育英が押し込む。だが、三菱養和は190cmの長身SB加藤慎太郎(3年)が身体を投げ出してクロスをブロックするなど最後の局面で自由を与えない。逆に三菱養和は交代出場のU-17日本代表FW栗原イブラヒムジュニア(1年)が前橋育英のU-18日本代表CB松田陸(3年)との激しいマッチアップやシュートで会場を沸かせていた。

 増子監督から「2点勝っているし、相手は出てくるので、落ち着いてやれれば良かった」と指摘されたように、後半の攻撃面では慌てて攻めてロストするシーンが多かった三菱養和だが、守備の集中力は最後まで途切れなかった。39分、前橋育英は田部井涼がインターセプトから出した絶妙なスルーパスで榎本が抜け出したが、シュートは飛び出したGK川島がビッグセーブ。前橋育英は47分にも抜け出した飯島の右足シュートがクロスバーを叩くと、50分の榎本の決定機もGK川島にワンハンドでストップされて万事休す。三菱養和が2-0で勝利した。

 三菱養和にとって14年以来となるプレミアリーグ復帰は大きな目標だ。佐々木が「1つ下、2つ下にプレミアを経験させたい」と語ったように、特に3年生たちは後輩たちに高校年代最高峰の戦いを経験させたいという思いが強い。夏の日本クラブユース選手権出場を逃したからこそ、プレミアリーグ昇格、Jユースカップでの上位進出へ選手たちは情熱を燃やしている。

 GK川島は「プレミアで上げるのも絶対ですし、Jユースも出るのは目標じゃなくて、出るのは最低条件で、本当に上目指して行こうと、夏出れなくてみんなで話し合ったのでそれは成し遂げたい」と意気込んだ。Jアカデミー、高体連の強豪校たちと争うプリンスリーグ関東で3位以内に入り、プレミアリーグ参入戦へ進出することは決して簡単なノルマではない。だが、“街クラブの雄”はこの日のような戦いを今後も続けて目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
●2017 プリンスリーグ関東

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