beacon

[プレミアリーグEAST]U-17日本代表主将、MF福岡慎平は海外で戦うためより「怖い選手に」

このエントリーをはてなブックマークに追加

京都サンガF.C.U-18のU-17日本代表MF福岡慎平(左)

[7.9 高円宮杯プレミアリーグEAST第8節 市立船橋高 1-0 京都U-18 グラスポ]
  
 試合が始まると、京都サンガF.C.U-18のU-17日本代表MF福岡慎平(2年)はすぐにこの試合がいつもと違うものになるという感覚を肌で感じていた。市立船橋高は最も警戒していた京都U-18の2年生ボランチを立ち上がりから厳しくチェック。福岡は「ボクにつけさせないという形になっていた」状況からのスタートとなった。

 普段ならば福岡がGKからのパスを引き出してそこから攻撃を組み立てることが多いが、この日は警戒され、時に体ごと潰しに来られることもあった。福岡にとっては普段よりもボールに絡む回数の少ない試合となったが、その中でもタイミング良くボールを受けて崩しにかかわったり、囮の動きをして攻撃をスピードアップ。チームは3人目の動きで背後を取るシーンもあったが、なかなか決定打を放つことができなかった。

 後半、福岡が最終ラインまで下がってCBを押し上げたり、また相手のDFライン背後へ抜け出すことで味方がフリーになる状況も生み出していた。状況を打開する上で「良い収穫になった」と感じる部分もあったという後半。その中で福岡自身も決定機に絡み、0-1の後半44分には抜け出しから左足シュートを放ったが、最後まで得点を奪えず、0-1で敗れる結果となった。

「前半立ち上がりは本当に上手く出きていたと思いますし、3人目の動きとか裏の抜け出しとかも多くなっていったんですけど、後半になるにつれてみんな体力の部分で動かなくなってきて、ボールも動かなくなってきて僕自身が前に行ってその間にカウンター食らうシーンが何回か続いて、そこでバック陣も声を出さないといけないと思っていますし、全員がこのチームを引っ張るという気持ちでやらないとEASTでもWESTでも勝てないんじゃないかなと感じます」

 リーグ編成上の理由で京都U-18は今年、プレミアリーグWESTからEASTへ戦いの場を移した。そこで福岡が感じているのは1点の重みなのだという。京都U-18はこの日のように接戦を演じ、チャンスを作りながらも決められずに1本の差で敗れるなど、ここまで3勝5敗で6位。下位との差はなく、気を緩めることのできない状況となっている。

「1点の重みをEASTに来て感じさせてもらっているので、もっとこの1点の重みをみんなに感じてもらいたいなと思いますし、そこで攻撃陣は決めきるところをしっかり決めて、守備はしっかり守らないとEASTでは本当に勝っていけないかなと感じました」。昨年度のプレミアリーグチャンピオンシップと選手権2冠の青森山田高やクラブユース選手権とJユースカップ2冠のFC東京U-18、インターハイ王者の市立船橋などが争うEASTの戦いはWESTで戦っていた昨年以上に厳しいものになると感じている。だからこそ、世界での経験値もある自分が伝えながら、チームメートたちの意識も高めて行く考えを口にしていた。

 同時に、個人的にはもっともっと個を伸ばしていかなければならないと感じている。この日は球際の強さを発揮してインターセプトするなど力を示していたが、厳しいマークの中でゴール、勝利という結果を残すことができなかった。まだまだ目標とする姿になることはできていない。「海外にはもっともっと怖い選手はいますし、僕自身もアンカーながらもっと点を取れるように、チームを助けられるようなプレーをしなければいけないと思いますし、今後海外で戦うためには怖い選手になれるように、チームでもそうですし、代表でも経験を伸ばしてやっていきたいなと思います」と力を込めた。

 10月にU-17W杯を控えるU-17日本代表のメンバーはそれぞれが「決勝までの7試合を戦う」「世界で戦うために個を伸ばす」ことを公言して成長を目指している。そのチームのリーダーである福岡ももちろん、その意欲を持って送っている日々。自信を深めてきた球際の部分や相手の背後へ抜け出す部分を世界で発揮し、主将としてチームを勝利へ導かなければならないと考えている。

 今月7日にはU-17W杯の組み合わせが決定。グループリーグでフランス、ニューカレドニア、ホンジュラスと対戦することが決まった。U-17日本代表のチームメートたちと連絡を取りながらライブで抽選会を見ていたという福岡は「フランスのところに入った時はもう一回やれるという楽しみができました。前もやったんですけれどもAではなかったと思うので、もう一回叩き潰せるチャンスがありますし、ニューカレドニアやホンジュラスは情報の少ないチームですけれども、そこでもしっかりチーム一丸となって3戦全部勝って一個ずつ積み上げていって、最終的には優勝してその大会を終えられたら本当にいいと思っています」と目標を掲げた。

 2年前に本格始動した00年生まれ世代の代表チーム「00ジャパン」の活動も今回のU-17W杯が一つの集大成。「ゴリさん(森山佳郎監督)を世界一の監督にできるように、チーム一丸となって戦いたい」。世界の戦いまで残り80日以上。その中でU-17日本代表の主将は個を成長させてより怖い選手になり、よりチームをよりまとめて世界一に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●2017 プレミアリーグEAST

TOP