beacon

筑波大OBの敵将は脱帽も…ヘッド2発のFW中野「足で入れてナンボ。自信は半々」

このエントリーをはてなブックマークに追加

2ゴールの筑波大FW中野誠也

[7.12 天皇杯3回戦 筑波大2-1福岡 Ksスタ]

 敵将も脱帽する2発だった。筑波大がJ2福岡を2-1で下し、大学勢としては09年度大会の明治大以来、8年ぶりの16強入り。J3YS横浜、J1仙台に続いてJクラブ勢を3連破する立役者は、やはりエースのFW中野誠也(4年=磐田U-18、磐田内定)だった。

 0-0で迎えた後半24分、MF西澤健太(3年=清水ユース)からのマイナス気味のクロスに下がりながら体を投げ出すヘディングシュート。先制のゴールネットを揺らすと、同34分にも右サイドからMF浅岡大貴(4年=JFAアカデミー福島U18)が折り返したグラウンダーのクロスに頭から飛び込んだ。

 地面すれすれのボールを押し込むダイビングヘッドで天皇杯は3戦連発となる通算5ゴール目。「クロスが上がってきたときは冷静で、最初は足でいこうかなと思ったけど、ふかす可能性もある。一番、(ミートする)面の大きい頭でいこうと思った」。ストライカーらしい嗅覚で勝利を大きく手繰り寄せた。

 筑波大OBでもある福岡の井原正巳監督は中野について「センターバックとの駆け引きが上手で、裏を取るタイミングも優れている。クロスへの入りも含めて、怖い存在だった」と称賛。「ケアしていたが、その中でやられている。Jリーグに入っても十分、通用する選手だと思う」と、来季の磐田入団が内定している敵エースに太鼓判を押した。

 それでも中野自身は至って冷静だ。2回戦のJ1仙台戦(3-2)でもCKからヘディングでゴールを決めているが、「3点とも頭。100%満足いく内容じゃない」と貪欲に言った。「やっぱり足で入れてナンボ。大学では足に触れるところで、今日も触れないシーンがあった。自信は半々」と、Jリーグ勢相手の連続ゴールにも過信はしていない。

 筑波大の小井土正亮監督は「もっとチャンスがあったし、彼への要求は高い。2得点は素晴らしいが、もっともっと取ってほしい」と、あえて釘を刺した。「彼は仲間に助けられて点を取れる選手」とも指摘したが、中野も「周りのみんなのおかげのゴール。周りのみんなに感謝したい」と応じる。「自信は持っているけど、Jクラブほどの実力があるとは思ってない。一戦一戦、いい準備をしているだけ」。謙虚に、貪欲に。筑波大のエースはまだまだ満足していない。

(取材・文 西山紘平)

●第97回天皇杯特設ページ

TOP