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[プレミアリーグEAST]「今日、一つ殻破れたと思います」浦和ユースのU-17代表CB大桃伶音が無失点で守り抜く

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浦和レッズユースのU-17日本代表DF大桃伶音(右)は完封勝利に大きく貢献

[7.9 高円宮杯プレミアリーグEAST第8節 浦和ユース 2-0 横浜FMユース 浦和駒場]

 開幕戦での勝利を最後に第7節まで未勝利が続いていた浦和レッズユース。この日、横浜FMユース戦開始の4時間前に終了した10位・市立船橋高対京都U-18戦で市立船橋が勝ち、勝ち点を浦和ユースと同じ5まで伸ばしてきていた。この横浜FMユース戦の試合結果次第で浦和ユースは最下位へ転落する可能性もあったが、その一戦でカナダ人の父と日本人の母を持つU-17日本代表DF大桃伶音(2年)が躍動した。

「市船とサンガとの試合で市船が勝っていたので、本当に負けられないなと思って。ジュニアユースもマリノスに勝って全国決めたので自分たちもやってやるぞと思っていた」

 浦和ユースはクラブユース選手権予選から3バックにチャレンジ。その中央にはU-19日本代表のCB橋岡大樹主将(3年)が入っていたが、大桃は前日練習で橋岡とポジションを入れ替わる形となり、3バックの中央として横浜FMユース戦をスタートした。

 そのポジションで大桃は「跳ね返すのが自分の武器なので、大きく、強く、声出して絶対に跳ね返すという気持ちでやりました」。187cmの高さを活かしたヘッドで跳ね返すたびに背番号12は大声で叫んでいた。

「基本、自分は黙々とやるタイプなので声出すことはあまり……」という大桃だが、声を発することで気持ちが前のめりになった部分があったか、後半には身体を厳しくぶつけてボールを奪ったり、PAで身体を投げ出してシュートをブロックしたりするなど最後まで集中した守備で完封勝利に貢献した。

 橋岡も「(大桃)伶音は結構声が出ないところがあった」と指摘する大桃だが、周囲に課題を言われ続ける中でこの日は変わった部分を表現した。意識したことは、U-19日本代表の逸材DF橋岡に頼るだけでなく自立すること。「以前は4バックやっていて大樹くんが真ん中で、自分は大樹くんを頼ってしまっていた。きょうは自分が真ん中なんでやってやろう、大樹くんより声出してやろうと」。大槻毅監督も「雄叫びは初めて」と驚く声と身体を張った動きで戦い抜いた90分間は彼にとって、今後へのターニングポイントになるかもしれない。

「この声を出すというのはずっとやれと言われていました。やっと今日、一つ殻破れたと思います。でも、これを続けられないと意味がない。また続けて声を出して、次に繋げられるようにしたい」

 今年の目標は「ワールドカップのメンバーに選ばれるように日々成長していきたい」というように、10月に開幕するU-17W杯出場だ。この日は浮き球の処理の部分やビルドアップの部分で納得できないプレーもあったという。課題を改善し、武器である当たりの部分やヘディングなどをもっとレベルアップさせて目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
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