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[MOM452]阪南大FW山口一真(4年)_現在ドイツで挑戦中、「右足の一発で人生を変えられるのがサッカー」

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阪南大の山口一真、公式戦中断期間を利用し、現在はドイツで挑戦中

[7.13 第46回関西学生サッカー選手権・決勝 阪南大3-2(延長)関西学院大 キンチョウ]

 ボールを支配していながらも、得点が取れず閉塞感がにじみ出てきたチームを救ったのは、阪南大背番号10の右足だった。

 前半アディショナルタイム、中央でDF岡部拓実(4年=正智深谷高)からパスを受けると、迷わず前へドリブルで突き進む。寄せてくるDFなど眼中にないかのように振り抜いたシュートはゴール左隅へ突き刺さった。

 須佐徹太郎監督も「あの1点が大きかった」と振り返った試合の流れを変えた一発。人一倍負けず嫌いで、誰にも負けたくないというFW山口一真(4年=山梨学院高)の気迫が、チームに伝わり火をつけたプレーだった。

 “阪南大の山口一真”と言えば、「やんちゃ」「ぶっとんでる」「自分勝手」というネガティブなイメージで語られることが多い。確かに下級生の頃は本人も「遊びに行ったりしてた」と認める。野性児と言われる反面、いざという時にケガでチームを離れてしまうというひ弱さもあった。ピッチの中で見せる奔放さが山口一真のすべてのように語られていたのは「才能さえあれば、Jリーグに行ける」と考えていたという甘さがどこかに透けていたのかもしれない。

 元々、ゴールへ向かうプレーには定評があったが、今年の前期リーグはここまで7得点11アシストとずば抜けた成績を残している。ベースは何も変わっていない。ただ「サッカー選手として誰もが知っている存在になりたい。そのために生活や食事やトレーニングをどうするべきかを考えるようになった」という本人の自覚が一番の変化。それに気づかせてくれたのは、チームメイトたちの存在だ。

「スタンドにいる部員もいい選手がいっぱいいる。自分の活躍を観て、サッカーに躓いているヤツ、腐りそうになっているヤツに『一真みたいになりたい』と思ってもらいたい」と仲間たちへの想いが山口を走らせる。

 己が望む道を追い求めることは、周りへ多くのことを伝えることができる。それがフィールドの中で責任感あるプレーを継続できる選手へと成長させたのだ。

 待ち望んでいたJクラブからのオファーも届いた。しかし「Jリーグでどういうプレーをするかを思い描くだけでなく、将来海外でプレーするには何が必要で何が足りないのかを見極めたい」という気持ちをもって、現在デュッセルドルフのキャンプに練習参加中だ。

「『右足の一発で、人生を変えられるのがサッカーです』って書いといてください」と決勝の後に笑顔で語ってくれたとおりに、この夏、自らの人生を右足で切り拓く。

(取材・文 蟹江恭代)

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