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“愛弟子”が誓う“恩師”への恩返し…MF坂井大将「最後まで呼び続けてくれた」

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U-20日本代表MF坂井大将

[7.14 練習試合 U-20日本代表2-2ユニバーシアード日本代表]

 お互いを信頼してきた。U-20日本代表を率いる内山篤監督と主将を務めるMF坂井大将(大分)。2人の旅は19日に初戦を迎えるAFC U-23選手権予選で一つの区切りを迎える。

 ともに歩んできた――。坂井が飛び級で選出された14年AFC U-19選手権でコーチを務めていた内山氏は、翌年からU-19日本代表の監督に就任。チーム発足当初から坂井はリーダーシップを発揮し、アジアの頂点まで登り詰めた16年AFC U-19選手権、そして今年5月のU-20W杯ではキャプテンマークと背番号10を託されてチームの先頭を走ってきた。

 U-20W杯メンバー発表会見時、内山監督は坂井への揺るぎなき信頼を口にしていた。「彼はピッチ上でも、ピッチ外でも非常にバランス感覚に優れている。決して、いろんなことを声に出していくタイプではないが、チームを冷静に引っ張ってくれる」。そして、坂井も指揮官の信頼を肌で感じていた。「14年AFC U-19選手権も篤さんと一緒に経験しているので、コミュニケーションも取りやすいし、信頼を感じている」。

 年代別代表ではメンバーに名を連ねてきた坂井だが、所属する大分では出場機会をつかめ切れずに苦しい日々を送ってきた。しかし、本人は「大分で苦しい状況なのは自分でも理解している。これを乗り越えないと一つ上のレベルに行けないし、ここを乗り越えたら良いことがあると思っている」と前だけを向いた。そして苦しい状況の中でも代表に招集し、キャプテンマークを託してくれた指揮官への恩を感じていた。

「大分では途中出場やベンチどまりの試合もあるけど、僕を最後まで呼び続けてくれて、キャプテンもやらせてもらってきた。本当にすごく信頼してもらっていると感じているので、僕らはピッチで恩返しするしかない」

 AFC U-23選手権ではフィリピン、カンボジア、中国と対戦。内山監督は今予選で任期を終え、チームは東京五輪に向けて新たなスタートを切ることになる。「このスタッフ、このチームでやるのは最後。篤さんと、監督とキャプテンという関係で代表でやるのは最後だと思う」と気を引き締め直すと、「だからこそ、最後まで篤さんのサッカーをやり抜いて、3連勝で終わりたい」と力強く決意表明した。ともに歩んできた“恩師”に恩返しするため、“愛弟子”はチームの先頭に立って勝利だけを目指す。

(取材・文 折戸岳彦)

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