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U-17日本代表の“超万能型”DF菅原由勢、初体験の左SBで圧巻のパフォーマンス

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U-17日本代表の“超万能型”DF菅原由勢

[7.16 国際ユースin新潟第2戦 U-17日本代表 1-0 U-17メキシコ代表 五十公野陸上競技場]

とても初めてプレーしたポジションだとは思えないようなパフォーマンスだった。試合後には、U-17日本代表の森山佳郎監督も「十分できる」と賞賛。U-17日本代表の“超万能型”DF菅原由勢(名古屋U-18)が同代表の懸念の一つである左SBの不安を払拭するプレーで関係者たちを唸らせた。

 今大会初戦で菅原はCBとして出場して抜群の存在感を発揮。所属する名古屋U-18では主に右SBを務め、ボランチでもハイレベルなプレーをする菅原だが、左SBとしてメキシコ戦に出場することを知ったのはこの日の試合前のミーティングだったという。

 準備期間はわずかしかなかったものの、「(経験は)無いですけれども、右と左との役割は変わらないと思っていましたし、どこにいても自分の良さを出せるというのが自分の良さだと思っている。(突然の左SB起用だったが)別に何にも無かったというか、自分のやるべきことをやるだけだと思った」という菅原は、試合前に前方の選手たちとパスを出すタイミングなどの確認をすると、試合では様子見することなく、立ち上がりから全開で自分のプレーを発揮していた。

 攻撃面ではスペースでボールを引き出し、パス交換から一気に最前線へ。前半12分にFW中村敬斗(三菱養和SCユース)の折り返しを決定的な形で叩くと、その後も自信を持ってオーパーラップを繰り返し、攻撃力を発揮していた。後半にも2度決定的なシュートを放ちながら決められなかったことは「FWの選手でなくても、結果を残すというのはどこのポジションの選手でも一緒」と反省。それでも、初めてのポジションで全く迷うこと無く、アグレッシブにゴールを狙い続け、シュートシーンに絡んで決定打を打ち込んでいたことが印象的だった。

「攻撃の面に関しては自信しか無かったです。相手はワールドカップに出る強豪国でしたけれども、自分の良さは何度も海外に行くに連れてさらに自信が高まったというか、そういう自信があったので、立ち上がりから圧力かければ相手も日本に来てキツイだろうし、後半絶対にバテてくると思ったので前半はギアを上げるようにしました」

 前半から相手の体力を削るために運動量多くプレーしていた菅原だが、守備面での貢献度も非常に大きかった。相手の攻撃のキーマン、MFイアン・ハイロトーレス・ラミレスとマッチアップした菅原はPAまで持ち込まれるシーンが幾度かあったものの、食らいついて自由にプレーさせず、明らかに嫌がられる存在になっていた。そして前半24分には逆サイドからの決定的なラストパスに身体を投げ出して阻止。そしてアディショナルタイムにもDFが崩されてからのシュートをゴールラインにまで戻ってスーパークリアと素晴らしいプレーを連発した。

 U-17代表の主軸であり、将来も注目の逸材DFは、チームを救ったビッグプレーも当然のプレーだったことを強調。「クリアのシーンとか、これができなきゃこの代表には選ばれていないと思いますし、正直あれが僕の武器だと思っている。あれはチームが勝つためにやったことなので当たり前のことをやっただけです」と頷いていた。

 菅原が所属する名古屋U-18は今年、プリンスリーグ東海で戦っている。プレミアリーグから降格したため、高校年代トップのカテゴリーで試合をすることができていない。もちろん本人も不安があったという。それでも彼は「他の選手よりも2倍3倍、代表とか上のレベルを意識してやらないと」と意識高く日々を送っていることを実証するようなパフォーマンスを代表チームで見せている。それは自身を戒めながら、目標実現を目指す彼の思考が原動力になっていた。

「このU-17代表に選ばれるためには意識高くやっていかないといけない。日々のサッカー以外のところでも常にそのことが頭の中にありますし、この代表の活動が刺激になっています。色々な記事を見ると、(U-17日本代表の)みんなプレミアで頑張っていたり、トップチームでデビューしている選手もいる。それに比べて自分がのこのことプリンスで1点取ったからいいとか言っていたら、その時点で終わりだと思うので、常に上を目指して高い意識で取り組むようにしています」

 10月開幕のU-17W杯までにまだまだ変わることができると考えている。「今まで意識して過ごしてきた期間よりもその本番前の3か月というのは身体も技術も変えられるチャンスだと思っているので、24時間サッカーのことを考えて、行動して、7試合戦って決勝の舞台へ日本、また(森山)監督を連れて行くというのが僕の目標でもあるので、この代表の誰よりも意識高く取り組みたいと思っています」。実行することが困難に映るようなものでも、彼にとっては当然の取り組み。U-17日本代表の注目DFはこれからも誰よりも意識高く日々を送って今秋、目標を実現する。

(取材・文 吉田太郎)

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