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鈴木啓太“同窓会”で「忖度があった」2発に感謝…「革靴に履き替えて頑張りたい」

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引退セレモニーでファンに手を振るMF鈴木啓太

[7.17 鈴木啓太引退試合 REDS LEGENDS4-4BLUE FRIENDS 埼玉]

 “同窓会”に笑顔を絶やさなかった。Jリーグ通算379試合の出場歴を誇る浦和レッズ一筋のバンディエラ、MF鈴木啓太の引退試合が17日、埼玉スタジアムで行われた。レッズ黄金期を支えたレジェンドやオシムジャパン時代の仲間たちが集結し、メモリアルマッチに華を添えた。

「僕にとっての一番のサポーター」という両親と手をつないで入場。「両親にサッカー人生の集大成を見せられた。こうして愛してもらったところを見せられて、親孝行できたのかな。両親は僕のセカンドキャリアについて心配しているけど(笑)、これからは心配しないような形を見せていきたい」。

 現役時代は泥臭く守備をし、チームのために走る献身的なプレーが持ち味だった。しかし、この日はボランチとしての本来の仕事以上に、主役として2アシスト2ゴールという見せ場があった。「ゴールを取ることが心配材料だった」と試合後の会見で明かしたが、「僕に点を取らせてくれるために多くの忖度(そんたく)があったようにも感じましたけど(笑)、個人的には1試合で2ゴールを取ることはなかったので非常にうれしい」と素直に喜んだ。

「埼玉スタジアムに立って、真っ赤に染まったスタンドを見たときに『自分の居場所だったんだな』と思った。いつも見ていた光景がとても懐かしいものに変わっていたときに、不思議な感じがした。その空気で昔を思い出した。ロッカールームの会話、選手同士の悪ふざけ。ギドとワシントンが喧嘩したこともあったけど(笑)、そういう出来事よりも空気や匂いに懐かしさを感じた」

 2000年に東海大翔洋高から浦和(当時J2)に加入。引退した15年シーズンまで16年間、浦和一筋でプレーした。試合後の引退セレモニーではスパイクを脱ぐ演出後、場内を一周。25756人のサポーターに挨拶し、別れを惜しんだ。引退から1年半が経っていたが、「ひとつの区切りになった。スパイクをみなさんの前で脱がせてもらったことに感謝したい。これが次へのスタート。革靴に履き替えて頑張りたい」と笑った。

 “浦和の男”で始まり、“浦和の男”で終わったが、道はまだ続いている。引退後は実業家に転身し、AuB(オーブ)株式会社の代表取締役を務める。今後の展望について「サッカー選手として経験したことを生かして、スポーツ界やサッカー界に貢献していきたい。まだ皆さんにお話しする段階じゃない」と詳細は語らなかった。

 叶えたい夢はほかにもある。「浦和のためになりたい。僕がいることによってチームのプラスになるような仕事をしたい。しっかりそれまでに実力をつけて、勉強して、僕にしかできないことをやりたい」。浦和レッズを愛し、愛された男はクラブへの恩返しも誓った。

※敬称略
(取材・文 佐藤亜希子)

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