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J3で中心となり、その先の世界へ。地道に、壁に挑み続ける注目17歳MF平川怜

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U-17新潟選抜戦では後半からの登場で流れを変えたMF平川怜

[7.17 国際ユースin新潟第3戦 U-17日本代表 5-1 U-17新潟選抜 デンカS]

 U-17日本代表の各選手が、口にしている目標が「U-17W杯で決勝までの7試合を戦う」ということ。チームの柱であるMF平川怜(FC東京U-18)は「それができれば、これからのサッカー人生が変わってくると思う。チャンスがあれば無駄にしたくはない」と決意を口にした。

 平川は00年生まれ世代の代表チームが本格始動した一昨年から常にメンバーリストに名を連ねてきた。昨年、高校1年生ながらFC東京U-18の主力として日本クラブユース選手権とJユースカップの優勝に貢献したボランチは、高校2年生となった今年、J3デビュー。経験値を高めながら、成長を遂げてきていることを今回の第21回国際ユースサッカーin新潟でも実証していた。

 先発出場したU-17メキシコ代表戦ではMF奥野耕平(G大阪ユース)とのコンビで厚い守りを見せていた。よりフィジカルコンタクトが激しいと感じているJ3を経験してきている平川は、メキシコアタッカー陣の前に身体をねじ込んでボール奪ったり、セカンドボールを回収。そして、何度も中盤の攻防戦を制して縦へ抜け出し、チャンスに絡んでいる姿が印象的だった。

「ボールを前に運ぶということは自分の良さだと思う。そこのところでメキシコ戦は中央を破ることもできていたと思う。あとはタイミングと回数を増やしていけたらいい」。もちろん、仕掛けのパスの精度などより向上させなければならない部分もあるが、いずれも後半からの出場で流れを変えたU-17クロアチア代表戦、U-17新潟選抜戦含めて存在感。継続的に選出されてきた選手として「もっともっと違いを見せていかないといけない立場だと思います」という平川はその言葉通りのプレーを見せていた。

 今年は、FC東京のU-23チームとU-18チームで戦うシーズン。ここまでJ3で9試合に出場(うち8試合で先発)する一方、プレミアリーグでも4試合でフル出場している。昨年以上に高いレベルの公式戦を戦う中で今年も着実に力を積み上げてきているが、J3では納得の行くプレーができている訳ではない。

「個人としてはJ3では自分の良さも出せずにという状況が続いていると思うので、(U-17)ワールドカップまでにはそこを変えられるように、J3でも全く問題ないプレーができるようにしたいと思っています」

 ゴール、アシストの数を増やすことができず、U-18チームでできていることがJ3で表現できていないと感じている。特に「フィジカルの部分ではまだ足りない。そこを補う技術っていうところもやっていかないといけない」と平川。“超逸材”“天才ボランチ”という代名詞がつくほど周囲からの期待値が高まる一方で、本人はまずJ3でチームの中心となれるように、地道な取り組みを続けているのだ。

「フィジカル的には今回やった相手よりも、J3の方が個人的に上かなと感じる部分があります。常にそういう環境でプレーできるというのはワールドカップへ向けて大きいかなと思います。J3でも中心でやっていければその上がまた見えてくると思うので、先を目指して頑張っていきたい」

 現在は、一つの壁を乗り越えようとしている最中だ。焦りももちろんあるだろうが、自分を信じ、自分の課題を改善するため、長所をより伸ばすための土台を作って将来の飛躍へ。00年生まれ世代の注目ボランチは、U-17W杯までに目の前の壁を乗り越え、世界でより力を示して「サッカー人生を変える」。

(取材・文 吉田太郎)

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