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東京V渡辺皓太が口にした“トップチームが強くなる意味”とあるべき姿

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東京Vでの活躍の先に、東京五輪を見据えるMF渡辺

「DAZN×ゲキサカ」1年目のJリーガー~ルーキーたちの現在地~Vol.7

 東京ヴェルディへトップ昇格を果たしたMF渡辺皓太東京ヴェルディユース所属の2種登録だった昨季、すでにJ2で11試合に出場していたこともあり、ルーキー然とした雰囲気はない。今季のJ2でも出場機会を得ており、6月20日には早くもプロA契約を締結。同25日の町田戦ではJ初ゴールも決めるなど着実に経験を重ねている。2020年に控える東京五輪への出場を見据え、まずは東京Vでの活躍を誓うルーキーの今は?そして下部組織への想いとは。

――昨年11月に左足第五中足骨を骨折した影響で今季開幕には間に合いませんでしたが、第7節・湘南戦で今季初出場初先発し、ここまで(第24節終了時点で)は12戦1得点。この結果には満足していますか?
「去年に比べれば、判断のところとフィジカルのところでは、少し通用するようになったかなと思います。ただ想像していたよりは少し多く試合に出られてはいるのですが……試合に出て、何かを出来たわけではないので、そこは満足していません」

――今季からスペイン人のロティーナ監督が就任。新監督でのスタートをフルコンディションで迎えられなかったことに焦りはあったのでしょうか?
「怪我をしたのが去年の11月くらい。監督も新しくなったなか、開幕してからも自分はずっとリハビリで、結構きつかったです。それでも外から練習などを見ながら、新しいサッカーで自分はどうやるかをずっと考えていました」

――新監督の練習に初めて参加したときは難しさもあったのでは?
「練習のなかでの細かいことなどは難しかったですが、だいたいは見ていたり、話を聞く中でわかっていたので、そこはなんとなくこなすことはできたと思います」

――ロティーナ監督の練習で一番の驚きは?
「守備のときのポジショニングが本当に細かくて、今までやった監督のなかでもここまで細かくやる人はいなかったので、一番びっくりしました。ボールの位置によって、身体の向きや立ち位置、場所が変わるのでそこが本当に難しいです。今も完璧ではないので、チームとしても、もっと良くなるとも思っているので、追求していきたいです」

――監督からよく指示を受けることなどはありますか?
「ボランチに入ったとき、FWへ入るボールをいかに消せるかなど、細かい部分の指示を言われることが多いですね」

――昨季と比較しての中盤の変化といえば、今季はG大阪からMF内田達也選手が加わりました。一緒にプレーして感じることなどは?
「本当にうまいですし、声のかけ方も的確でポジショニングも含め、本当に勉強になるなと思いながらプレーしています」

――今季ここまでルーキーイヤーを過ごしての課題はどこにあると感じていますか?
「攻撃にはもっと関わりたいですが、ボランチをやっている以上はチームを落ち着かせることができる選手になりたいです。ルーキーですけど、余裕を持ってやっていけるようにしたいです」

――高校3年生だった昨季はもっと自分を出していかないとと仰っていました。その部分はどうでしょう?
「そこもまだ課題ですね。(周りに)動かされているだけなので、自分が(周りを)動かすことができるように。そこまでいければいいなと思っています」

――そこが課題となる理由は先輩へ対しての遠慮なのか、それとも自分のプレーに必死なのか。どちらでしょう。
「まだ自分のプレーでいっぱいいっぱいというか、余裕がないという感じかなと思います」

――昨季は11試合で無得点でしたが、今季は6月25日に行われた町田戦で待望のJリーグ初ゴールを決めました。改めて振り返ると。
「ずっとゴールが欲しかったので、そこは嬉しかったです。ですが、ホームの味スタで決めたいのは本当にあります。ずっとあそこで試合を見てきましたし、あそこで点を取ることはひとつの夢というか目標だったので、早く取りたいです」

――意外?にもJ初ゴールはヘディングでの得点でしたが、理想としていた点の取り方はあったのでしょうか。
「理想はないです。ただヘディングで取るのはないなと思っていたんですけど、あのときは取れましたね。理想はないと言いましたけど、そう考えるとやっぱり足で決めたいです(笑)」

――今季1点では物足りない?目標ゴール数などはありますか?
「自分のなかで決めていたシーズンの目標は、“3点”でした。あと2点は……取れますね。あと(残り試合も)半分近くあるので。アシスト? は0.5点で数えます」

――初ゴールといえば、MF井上潮音選手とどちらが先にJ初ゴールを決めるか勝負されていたそうですね。
「自分も最初はその“勝負”を知らなくて。サポーターの方や大輔くん(高木大輔)が始めた“勝負”だったんですけど、自分が先に点を取ることができたので、潮音くんが短髪にすることになりました。かなりの短髪にする約束だったんですけど、切って短髪にしてくるのかと思いきや……いや長くない??という感じで。あれはあまり罰ゲームになっていなかったです(笑)」

――渡辺選手にとっては一学年上にあたる井上選手ですが、どのような存在でしょうか?
「先輩という感じではないです。同期に近い? そうですね(笑)」

――同じポジションを争うライバルでもあります。
「同じポジションなのでライバルですね。でも潮音くんのほうが落ち着いていますし、上手いですよ。自分が勝っているところ? どこが勝っているかはわからないです。でも理想はもっと全部を上手くなって、すべての部分で超えたいです」

――井上選手、渡辺選手と揃って東京Vユースからのトップ昇格組です。今季もユースからはすでに藤本寛也選手が2種登録されています。ですが、東京Vユースはクラブユース選手権の予選で敗退……下部組織の結果などは気になるのでしょうか?
「ユースの結果はかなり気にするので、クラ選を逃してしまったことは悔しいです。でもトップチームが強くなれば、(東京Vの下部組織へ)入りたいと思う人も増えていくと思います。トップが弱いとFC東京さんの下部組織などにいってしまうので……。自分はヴェルディに入りたくて入ったので、今度は(育成年代の選手たちに)そう思ってもらうためにも、トップチームが強くならないとキツイかなと思います」

――下部組織時代に影響を受けた選手などはいましたか?
「入ってからは色々な選手を見ていましたけど、河野(広貴)選手(現・FC東京)がめっちゃ好きでした。自分が小さいときにすごく上手いなと思って……練習着をもらいました。今もありますよ! 河野選手は自分と同じサイズだったのでプレーをよく見ていました」

――現在ルーキーイヤーを過ごすなか、他クラブで意識している選手はいますか?
「試合に出ている人、全員ですね。U-20日本代表に入っていて、クラブでも試合に出ている選手。杉岡大暉選手(湘南)もこの前試合に出ていましたし、岩崎悠人(京都)とか。原輝綺(新潟)とかもずっと試合に出ているので、すごいなと思いつつ見ています」

――堂安律選手はフローニンゲンへ移籍するなど、海外挑戦を果たす選手も出てきました。
「意識しますね。海外にいつかはいくだろうとは思っていましたけど、こんなに早くいくんだと思いました。ちょっと焦っています。悔しいとかではないですが、置いていかれないように、自分はこっちで頑張るしかないなと思います」

――東京五輪出場を目指すなかでは、まずはU-20日本代表への“復帰”が課題となります。
「入りたいですけど、今入れていないので。こっちでずっと出続けて活躍すれば、(代表へ)呼ぶしかなくなると思うので。ここで頑張るしかないですね」

――今季残り試合へ向けての意気込みを。
「ここ最近の試合に出られていない(第22、23節はベンチ入りも出番なし)ので、練習でアピールするしかないですが、とにかく多く試合に出たいです。次に試合に使われたとき、短い時間でも仕事ができれば変わってくると思う。チャンスをしっかりとつかみたいです」

(取材・文 片岡涼)


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