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最注目FW安藤瑞季は2アシストも「喜べない」。今後厳しい戦いで決め続けて「人生を変える」

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長崎総合科学大附高FW安藤瑞季。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.29 総体1回戦 徳島市立高 0-3 長崎総合科学大附高 松島フットボールセンターピッチ2]

「負けたくらい、自分は喜べないというか……」。この日は2アシストで長崎総合科学大附高の快勝に貢献した。だが、「チャンスメークして点も取れたらいいんですけど、それ(自分が無得点に終わるくらい)ならばチャンスメークしなくても点取りたいという気持ちが強い」と言い切るほどゴールにこだわるストライカーにとっては、無得点に終わったことの悔しさの方が上。だからこそ、快勝後も悔しさを滲ませていた。

 FW安藤瑞季(3年)は今年、U-18とU-19の日本代表、U-20日本代表候補、そして日本高校選抜にも選出されている世代を代表するストライカー。それだけに、各試合で対戦相手は長崎総科大附の背番号10に最大級の警戒心を払って封じに来ている。

 四国の雄・徳島市立高と対戦したこの日も雨の中で激しいチェックが続いたが、安藤は動き出しで相手DFを何度も振り切って攻撃の起点に。そして「ファウルされてもどれだけ立ち上がれるかだと思っているので、何回倒されても立ち上がってゴールを目指したいですね」と平然と言い切ってしまうメンタリティーの持ち主は、倒されてもすぐに立ち上がり、前へ、前へと前進して見せた。

 そしてDFを引きつけてMF荒木駿太(3年)のゴールをアシストした前半28分のプレーや、引いてボールを受けてからのスルーパスなどでチャンスメーク。徳島市立の河野博幸監督も「上手かったです。自分が決められなくてもゴールまでのイメージができている。雨でも問題なく、技術が高かった」と賞賛した技術面の高さも随所に発揮して快勝をもたらした。

 試合終盤はどうしても1点を奪いたいという意欲が見ている側にも伝わってくるほどだった。特に、ゴールを演出した荒木に対しては、自身へのパスを強く要求したという。「『2点目をアシストしたから、後半オレにもっと出せと脅すくらいに言ったんですけど』(笑)。だから、アイツもパスをどんどん出してくれて、でも決められなかったのは自分の責任。良いパスを出してくれた駿太には感謝していますし、次の試合では決めきれる努力をしたいです」。

 焦りすぎてことを素直に認め、また切り替えて次へ向かうことができるところも彼の良さ。2回戦は昨年度選手権4強の東海大仰星高が相手だが、今後はそのような強敵との戦いが続くからこそ、自身が決めることを宣言する。

「厳しい試合では自分の方が決めれるという自信がある」。強敵との1点を争うような試合では、チームメートのシュートチャンスも減ってしまう。その中でチームからの信頼厚い安藤はボールを託され、そこで結果を残してきたという自負もある。今回の総体長崎県予選では準決勝、決勝でチームの全4得点。そのような大事な試合で決める選手になることは自身が求めている姿でもある。

「もっと強い相手にはもっと点が入らない時間帯とか続くと思うし、そこでいかに自分が点取れるかだと思うので、楽な試合展開よりも、厳しい試合展開の時に自分が点取って勝てるような選手になりたいです」

 昨年、名将・小嶺忠敏監督から聞いた「インターハイは人生が変わる」という言葉が印象に残っているという。「自分はプロに行きたいという気持ちが強いので、このインターハイで活躍してスカウトの目に留まるような活躍がしたいです」。昨年は2回戦で敗退。未だ全国大会でのゴールは無いが、今後大事な場面でゴールを決め、必ず「人生を変える」。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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