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岡山学芸館が後半2発で初戦突破。本領発揮なるか、J注目の技巧派ボランチ・池平直樹

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(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.29 全国高校総体1回戦 初芝橋本高 0-2 岡山学芸館高 みやぎ生協めぐみ野サッカー場 Bグラウンド]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)が29日、開幕し、各地で1回戦が行われた。みやぎ生協めぐみ野サッカー場 Bグラウンドの第2試合では岡山学芸館高(岡山)が初芝橋本高(和歌山)と対戦。前半は初芝橋本の攻勢にさらされる苦しい流れとなったが、ハーフタイムの「一喝」を機に蘇った岡山学芸館は後半から主導権を握って2得点を奪い、勝利をたぐり寄せた。

「久々に切れちゃいました」

 岡山学芸館の高原良明監督はそう言って苦笑いを浮かべた。ハーフタイムに爆発したという怒りの原因は、当然ながら前半の試合内容にある。シンプルに裏を狙う展開を増やしていくのは当初からの予定どおりではあったのだが、「緊張なのか怖がっていたのか、受け身になってしまった。ファイティングポーズをまるで取れていなかった」(高原監督)。相手の圧力に対して余りにも簡単にボールを捨ててしまうシーンばかりが目立つことに。注目MF池平直樹(3年)の頭上をボールが飛び交うような試合展開は、決して本意なものではなかった。

 ただ、劣勢に陥って決定機も作られる中でも、守備陣がギリギリで粘りを見せたこともあって、0-0で折り返せたのは大きかった。「ハーフタイムの指示というか、ハーフタイムの一喝」(高原監督)を受けた岡山学芸館イレブンは後半から明らかに違うスイッチが入っていた。

「やるぞという雰囲気」(池平)のままに迎えた後半の立ち上がりに、セットプレーから得点できたのも大きかった。右サイドのFKで池平が入れた速いボールにFW川西真斗(3年)が頭で合わせて先制点を奪うと、「あれで楽になったと思う」と初戦の緊張で少しおかしくなっていた部分も緩和。学芸館らしい、人もボールも動く小気味の良い機動的なパスワークが見られるようになり、前半とは見違えるような試合になっていった。

 19分にもパスワークから川西が決めて2-0とすると、そのまま逃げ切りにも成功。「去年は夏も冬も初戦敗退。まず初戦突破だけを考えていた」(高原監督)という第一関門をしっかり突破してみせた。

 一方、Jクラブからも注目される池平にとっては、自分の進路を勝ち取るための戦いという一面もある。岡山の練習に参加した際には自分のストロングポイントが通用するという手ごたえもあっただけに、プロ入りを目指す思いは強い。

 ただ、大会を前にした状態は良い面ばかりでなく、高原監督からは「まるで戦えていない」という厳しい指摘を受ける一幕もあった。それだけに「後半ところどころ良いプレーができたけれど、前半は……」というプレー内容への満足感はない。

 遠藤保仁に憧れる技巧派ボランチがここから本領発揮となるかどうか。それはここから岡山学芸館の快進撃が始まるかどうかを決する材料になるのかもしれない。

(取材・文 川端暁彦)
●【特設】高校総体2017

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