beacon

流経大柏が長崎総科大附に逆転勝ち! 激しさ溢れる攻防戦、“ケンカ”で勝り、個が役割果たして準決勝へ!

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半29分、流通経済大柏高はMF熊澤和希が決勝ゴール

[8.2 総体準々決勝 流通経済大柏高 2-1 長崎総合科学大附高 ひとめぼれスタジアム宮城]

 平成29年度全国高校総体 「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)は2日、準決勝を行い、流通経済大柏高(千葉1)と長崎総合科学大附高(長崎)が対戦。U-19日本代表FW安藤瑞季(3年)のゴールで長崎総科大附が先制したが、MF宮本優太主将(3年)とMF熊澤和希(2年)のゴールによって逆転した流経大柏が2-1で勝ち、ベスト4進出を決めた。流経大柏は8月3日の準決勝で前橋育英高(群馬)と戦う。

 今大会2試合で9得点無失点と強さを見せつけながら勝ち上がってきた前回準優勝校・流経大柏と、U-19日本代表FW安藤を擁し、勝負強く初の準々決勝へ進出した長崎総科大附との注目の一戦。その安藤と流経大柏のU-17日本代表CB関川郁万(2年)との意地と意地をぶつけ合うような競り合いのほか、それぞれが相手のFWを徹底マークするなどピッチの至るところで激しい攻防戦が繰り広げられた。

 流経大柏は序盤、中盤のスペースを活用した攻撃から優勢に試合を進めていく。7分、10分と右MFの加藤蓮(3年)がミドルシュートを枠へ飛ばし、11分には加藤のアーリークロスからFW後藤大輝(3年)がヘディングシュートを打ち込む。小さな局面を少ないタッチのパスで打開する上手さも見せて主導権を握った。

 対する長崎総科大附は球際の部分でハードワークすることを徹底。安藤やMF荒木駿太(3年)がフォローのない状況でもボールをキープしようとし、敵陣でスローインを獲得する。そして、右DF岩本蓮太(3年)、DF嶋中春児(3年)がロングスローをPAへ放り込み、FW 西原先毅(3年)らが身体を張って競ったボールのこぼれを狙った。22分には安藤の好パスからMF中村聖鷹(3年)の左足シュートが枠を捉えるなど、強敵相手にもゴールに結びつけるような強さを見せていた。

 だが、球際での迫力ある動きは流経大柏も欠かせない部分。主将の宮本優が「(本田裕一郎)監督から『ボールを使った“ケンカ”だぞ』『それで負けちゃダメなんだ』『ボールを使った“ケンカ”が強い方がきょう勝つんだ』とずっと言われていて、選手たちにもそれが頭に入っていました。ボールを使った“ケンカ”ならば流経はどこにも負けないと思っていた」という流経大柏は相手の得意とする部分で負けじと、気迫と激しさで相手を上回るような戦いを見せていた。

 0-0で折り返した試合の先制点は長崎総科大附が奪う。後半14分、岩本の右ロングスローがDFの頭上とGKの指先を抜けると、中央で構えていた安藤が左足ダイレクトで合わせて先制点。注目エースのゴールで長崎総科大附が先手を取った。

 長崎総科大附はその後も安藤の豪快な仕掛けを見せたほか、セットプレーから2点目を狙う。一方、苦しい展開となった流経大柏だが、これまでの右SBではなく右SHで先発起用されて思い切りの良いプレーを見せていた加藤が大仕事。22分、右サイドへ展開されたボールを受けた加藤が強引にPAへ仕掛けると、背後からファウルで止められてPKを獲得する。これを宮本が右足で決めて同点に追いついた。

 接触プレーで傷んでも立ち上がり、走り続ける両チーム。互いに譲らない展開となった攻防戦は2年生MFの技ありシュートによって決勝点が生まれた。後半29分、流経大柏はGK薄井覇斗(3年)のロングキックを交代出場のMF近藤潤(3年)が頭で右サイド前方のスペースへ落とす。これをコントロールした交代出場MF熊澤が前目のポジションを取っていた相手GK湊大昂(3年)の虚を突く形で技ありの右足シュート。バランスを崩した湊はゴールからかき出すことができず、ボールはゴールネットに吸い込まれた。

 2-1で勝利した流経大柏の本田裕一郎監督が、守備面で特に評価していたのは右SBの三本木達哉(3年)だ。「凄くマジメで黙々とやる子なんですが、忠実なのは忠実。『7番(荒木)に絶対にやらせるな』と言ったら、それが上手く行ったと思いますね」。三本木は、本田監督が安藤以上に警戒心を持っていたという今大会4得点の荒木に仕事をさせずに粘り強く対応。彼や関川、CB瀬戸山俊(3年)ら個々がハイボールの攻防含めてまず目の前に相手に負けないことを徹底し、よく跳ね返していたことが逆転劇に繋がった。

 本田監督はチームの守備面の成長を感じている。「大会前に(元日本代表DFの)秋田(豊)に来てもらった。1日指導してもらって、そのへんで皮が剥けたかもしれない。DF力が上った原因かもしれない」と分析。個々がそれぞれ期待に応えて持ち味を発揮し、そして成長する守備面も要素に攻防戦を制した流経大柏が9年ぶりとなる優勝へ一歩前進した。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

TOP