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「福島復旧・復興祈念ユース大会」冬の日本一を目指す2校が熱い戦い。尚志が1年生FW染野2発などで京都橘撃破!

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後半30分、尚志高の1年生FW染野唯月が決勝ゴール

[8.5 福島復旧・復興祈念ユース大会 尚志高 3-2 京都橘高 尚志高G]

 福島県郡山市を中心に開催中の「2017 第6回 福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」でインターハイベスト8の京都橘高(京都)と同ベスト16の尚志高(福島)が激突。尚志が1年生FW染野唯月の2ゴールなどによって3-2で勝利した。

 全国各地から強豪校・Jアカデミーが参加している「福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」は地元の尚志や帝京安積高の有志や福島の企業のサポート、参加各校の情熱で成り立っている。尚志MF加野赳瑠(3年)が「(福島が元気だということを)自分たちはプレーで体現するしか無いんで、一試合一試合全力でやります」と語ったように、高校生たちがサッカーを通して、またサッカー外の部分で福島に触れて、福島が元気だということを感じ、全国へ発信。同時に、各チームにとって、「福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」は秋冬へ向けた鍛錬の場にもなっている。

 この日はともに選手権での日本一を目指す両校が熱い戦いを繰り広げた。この日2試合目で体力的には厳しかったはずだが、真っ向から打ち合う好勝負。先手を取ったのは京都橘だった。

 前半5分、京都橘はビルドアップの中で複数のフリーの選手を作り出すと、CB山中啓生(3年)が左ハイサイドを取ったSB河合航希(3年)へパス。当初クロスを上げることを考えていたという河合が判断を変えて角度の少ない位置から左足を振り抜くと、素晴らしい一撃がゴールを破った。

 インターハイ準々決勝で前橋育英高にPK戦で敗れたものの、同大会で後方からゆっくりとボールを繋いで攻めるスタイルとショートカウンターを狙う部分に手応えを掴んだという京都橘が、積極的に内側でボールに絡むSB河合やMF梅津凌岳(3年)を中心に攻めて決定機を作り出す。

 だが、FW輪木豪太(3年)やFW関野竜平(2年)が決定機を迎えながらも、先発GKの負傷によって緊急出場した尚志GK中野目雅之(3年)の好セーブの前に阻まれるなど2点目を奪うことができない。

 尚志は後半立ち上がり、右の俊足FW加瀬直輝(2年)と左の高精度クロッサー・SB沼田皇海(2年)がチャンスメーク。そして8分にはMF加野赳瑠(3年)のスルーパスから染野が同点ゴールを決めた。

 11分にミスから京都橘FW輪木に勝ち越しゴールを決められてしまったが、尚志は跳ね返す。12分にMF渡邉新史(3年)のパスを受けた加野が右足シュートをゴール左隅へ叩き込んで同点。そして、互いに攻め合う中で迎えた30分には「覚醒してきた」(仲村浩二監督)という1年生FW染野が相手の背後へ抜け出し、右足で決勝点を決めた。

 伝統的にテクニカルな選手が多い尚志は、今年もワンツーやドリブルを多用。加えて、後方の選手が前線の選手を追い越して行く部分が攻撃に厚みを加えている。加野は「今年は上手い選手が多いけれど、体弱かったりとか小さい選手が多い。でも、体力のある選手が多いので、練習中も(仲村浩二)監督が追い越せと言ってくれて、それで身についたと思います」。

 インターハイは3回戦で長崎総合科学大附高に0-1で敗戦。ボールを支配して攻めたものの、ゴール前でのパス、シュートの精度を欠くなど1点を奪えず、相手エースFW安藤瑞季の一発に沈んでしまった。

 それでも、染野が「この大会ではインハイに出ている強豪校が来ていて、その中で結果を出すことで自分に自信が出てくる。(チームとしても)今後もどうやって戦っていくか、学べるところがあると思います」という「福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」を通して尚志は課題を改善し、新たな力を身に着けようとしている。

 染野がブレイクの兆しを見せているほか、強豪相手に持ち味を発揮して攻め勝つなど、今後へ繋がる大会に。加野は「新チームが始まってから全然点が入らなくて。それでも前よりは点が入るようになってきている。ここから選手権まで突き詰めていければ優勝もできると思います」。目標は選手権での日本一。今大会の残り2日間、全力で戦って、今できること、できなかったことを学び、冬の躍進に結びつける。

(取材・文 吉田太郎)

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