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「福島復旧・復興祈念ユース大会」100パーセント追求する大阪桐蔭は距離感、判断良い戦いで神村学園に完勝も、猛省

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大阪桐蔭高神村学園高との強豪対決を1-0で勝利

[8.6福島復旧・復興祈念ユース大会 大阪桐蔭高 1-0 神村学園高 尚志高G]

 強豪校・Jアカデミーがハイレベルな戦いの中でチーム強化を目指す「2017 第6回 福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」3日目に今年の近畿高校選手権優勝校・大阪桐蔭高(大阪)とU-18日本代表FW高橋大悟主将(3年)擁する神村学園高(鹿児島)が激突。大阪桐蔭がMF北田ダイア(3年)の決勝点によって1-0で勝った。

 神村学園の高橋が「凄い圧倒されたという感じ。ボールを触らせてもらえなかった」と振り返ったように、大阪桐蔭が神村学園の攻撃をほぼ完璧に封じ込んで快勝した。特に前半は選手の距離感が非常に良く、連続した守備で奪うと相手にボールを触らせずに長短のパスを繋ぎ、クロス、フィニッシュまで持ち込んでいた。

 前半10分、左サイドで判断良くボールを繋いだ大阪桐蔭は、MF菊井悠輔(3年)からのラストパスを受けた北田が飛び出したGKを上手く外しながら右足コントロールショットを決めて先制点。その後はMF西矢健人主将(3年)とMF神戸康輔(3年)のダブルボランチを中心に相手の状況を見て、声がけしながら、判断良くボールを動かし続ける。

 神村学園はボールを奪いに行くものの、引っ掛けることができずにズルズルと押し込まれてしまう。GK冨吉優斗(3年)のビッグセーブなどで2点目を許さなかったが、攻撃に関しては29分に左FKからCB島田龍也(2年)がゴールへ押し込もうとしたシーンと34分にコンビネーションから高橋が左足ダイレクトで放ったシュートを除くと、チャンスらしいチャンスを作れないまま前半を終えてしまう。

 相手のプレッシャーに慌ててしまい、自分たちのパスワークをやり通せなかったインターハイの反省を活かし、自陣から逃げずにボールを繋ぎ続けることにチャンレンジしていた神村学園は後半、MF田畑拓武(3年)を中心に落ち着いて後ろから攻撃を組み立て、立ち上がりにはシュート数を増やしていたが、大阪桐蔭の守りを破ることができない。

 後半半ば以降は菊井とFW今岡陽太(3年)の2トップだけでも決定機を作り出してしまう大阪桐蔭が良い形のボール奪取からシュートを連発。相手の守りを切り崩し、4、5回とビッグチャンスを作ったが、菊井やCB寺井雄紀、左SB加藤宙(ともに3年)のシュートが精度を欠いたり、GK冨吉の好守にあったりするなど、2点目を奪えないまま試合を終えた。

 相手のメンバーがベストではなかったとは言え、大阪桐蔭はCB田中智哉(3年)や寺井、ダブルボランチがパスコースを消し続けてほぼ隙を見せず。全国トップクラスの攻撃力を誇る神村学園を完封し、攻撃面でも判断良くボールを繋ぎ続け、決定機を連発するなど完勝と言えるような内容だった。

 だが、永野悦二郎監督は全く満足していなかった。後半に距離感が悪くなり、チームプレーができなくなったこと、パスミスが計32回あったこと、連続で繋いだパス本数の最長がわずか6本だったことを指摘。「試合前、丁寧さが大事だと言っていたけれど、凄く雑だった。考える量、動きの量、要求も不足しています」(永野監督)。決定機を作りながらも一本を大事にすることなく勢いだけでシュートを放ったり、ミスを厳しく指摘する声も足りなかった。

 今大会、大阪桐蔭のテーマは「プレスを掛け続けて頭脳プレーをしよう」。連続した守備で相手の攻撃を封じ込み、ボールを支配していた。だが、全くボールを奪われることなく攻め、より良い形の攻撃に繋げられるような守りをするなど、全てのプレーをもっと追求し、相手を圧倒するような試合をしなければならない。

 西矢は「相手のキーマンとか高橋大悟を抑えてシュートもほとんど打たせていない。でも、もっと圧倒的に。今年、監督からも大阪圧倒的に勝たないと全国でも通用しないと言われていますし、僕達は勝てているけれども1-0なのでまだまだ。(勝ち続けていることは)自信にはなっていると思うんですけど、満足したら終わりなんで、チャレンジして一つ一つ突き詰めていきたい」と反省し、より一つ一つのプレーにこだわっていくことを誓った。

 インターハイ予選は優勝候補に挙げながらも3位で敗退。選手権で大阪を制し、9年ぶりとなる全国切符を掴むために個々がより何をしなければならないのか考えて、行動に移す。 

(取材・文 吉田太郎)

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