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[adidas Cup仙台]埼玉の“次なるブレイク候補”狭山ヶ丘が準決勝を5-0突破!

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狭山ヶ丘高は5-0で快勝。決勝進出を決めた

[8.7 adidas Cup仙台準決勝 狭山ヶ丘高 5-0 鎌倉高 松島フットボールセンター]

 埼玉の“次なるブレイク候補”がタイトルに王手――。adidas Cup 2017仙台大会準決勝が7日午後に行われ、狭山ヶ丘高(埼玉)が伝統校の鎌倉高(神奈川)に5-0で快勝。狭山ヶ丘は8日午前の決勝で開志学園JSC高(新潟)と戦う。

 ストロングポイントを持った選手たちが組み合わさった、スケール感大きな好チームがadidas Cup仙台で強さを発揮している。埼玉県西部の入間市に位置している狭山ヶ丘は昨年のインターハイ予選でベスト4に入り、今年の関東大会でも武南高などを破ってベスト4進出。「スピード感あるサッカーを目指している」と西澤正仁監督が説明するチームはこの試合、堅い守りから強力アタッカー陣の個を活かしたスピード感あるサッカーで相手を飲み込んだ。

 前線で技術力の高さを示していた10番FW近藤克樹主将(3年)やさり気ないキック一本で局面を変えていたMF山脇謙臣(3年)、またともにスピードのある右の山本渉、左の長尾晃介(ともに3年)の両翼などがチャンスを作り出す狭山ヶ丘は前半17分、山脇が左CKからGKを外したボールを中央へ蹴り込むと、これをFW新井優士(3年)が頭で合わせて先制点。さらに20分には、相手のバックパスをインターセプトした山本がGKとの1対1を制して2点目のゴールを奪った。

 準々決勝を5-1で制して勝ち上がってきた鎌倉は序盤、前線への縦パスを2列目の選手たちが上手くフォローする形で前進していたが、ミス絡みで痛恨の2失点。それでもこの試合の印象的なプレーヤーの一人だったFW高原直朗(3年)がキープ力、突破力を発揮するなどチームを牽引する。
 
 25分には速攻からMF小澤和記(2年)が持ち上がると、右サイドを斜めに切れ込んだ高原がMF佐藤亮太(3年)へラストパス。27分にも高原が抜け目ない動きでDFと入れ替わり、決定的なシュートを打ち込んだ。

 だが、注目GK青木祐太を中心にCB伊東雄大やCB辛島拓哉(全て3年)らが堅い守りを見せる狭山ヶ丘から得点を奪うことができない。後半立ち上がりにその鎌倉を狭山ヶ丘が連続ゴールで突き放した。

 4分、左中間で獲得したFKを近藤が右足で鮮やかに決めて3-0。さらに6分には近藤の落としを受けた山本がPAで倒されてPKを獲得し、これを伊東が豪快に決めて4点差とした。狭山ヶ丘は20分にも交代出場のDF南歩武(3年)のパスから一気に抜け出した近藤がGKをかわして5点目のゴール。鎌倉は佐藤の左クロスや高原のインターセプトからのシュートなどで1点を目指したが、無得点に終わった。

 昨年度のインターハイで初出場ながら3位へ躍進した昌平高や、2度目の出場だった昨年度の選手権で8強入りした正智深谷高など新興勢力の台頭が目立つ埼玉県。狭山ヶ丘も埼玉の壁を突き破るだけのポテンシャルを秘めたチームだ。

 西澤監督は選手権へ向けて体づくり、精神力と武器の強化をテーマに掲げながら現在は「雑さを取り除くことを意識している」という。多少アバウトな攻撃でもゴールまで持ち込めるほどの力がを持つが、攻守においてより細かい部分を突き詰めること。GK青木は「この合宿でみんなが細かいミスを指摘し合って、あのミスどうだったかとか、何がダメだったかとか、当事者以外の選手は何ができたかとか徹底してできてきた」と語っていたが、1プレー1プレーをより大事にすることで、これまで見られた決めきれずに流れを失って失点、そして敗戦という試合が減ってきているという。

 勢いのあるチームは付け入る隙をなくして、より勝つチームへ。山脇が「まずは(埼玉県予選の)1回戦勝って、どんどんチームとして、全員で勝ち上がっていきたい。選手権取って全国行きたいです」と語ったように、選手権出場がチームの大目標だ。今回のadidas Cup仙台ではファイナルも勝ち切って選手権への弾みをつける。

(取材・文 吉田太郎)

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