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「福島復旧・復興祈念ユース大会」「バラバラになれ」。帝京安積は慰め合いではなく、強く要求し合って勝つチームへ

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帝京安積高MF篠木涼太(右)

[8.6 福島復旧・復興祈念ユース大会 帝京安積高 2-2 旭川実高 西部サッカー場メイン]

「バラバラになれ――」。

 帝京安積高の小田晃監督は、ホストチームとして参加した「2017 第6回 福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」の2週間前に選手たちへそのようなメッセージを送ったのだという。

 やりたいことを自分勝手にやれ、という意味ではない。インターハイ福島県予選で4強入りしている今年のチームは、マジメでコツコツやることは得意だが、仲間のミスに対して厳しく指摘する選手や、勝ちたいという思いを強く表現するような選手がいない。指揮官は「勝つこと、勝負ごとへ対する執着心が薄い」ように映るチームに対して、それが嫌なことでも、チームが勝つために選手同士が厳しく要求し合うことを求めている。

 だが、まだまだ選手たちは変わることができていない。旭川実高戦は前半6分にMF矢吹柊真(2年)の豪快ミドルで先制。その後、旭川実に主導権を握られながらも我慢強い守りとボールを速く、正確に繋ぐ攻撃で対抗すると、34分にFW穂積幸希(3年)の抜け出しからエースFW五条方猛(3年)が決めて2-0と突き放す。

 そして、後半残り10分まで2点リードを守っていたが、MF篠木涼太(3年)が「後半に走り負けていたし、チームの弱さが出た。口だけになっていたり、後半になって足が止まってボールを受ける選手も少なくて蹴るだけになってしまった」というチームは、後半25分に1点を返されると、31分にも決められて白星を逃した。

 小田監督は苦しい時間帯に「黙っていた子が味方を声で動かしたり、全然後ろから追わなかった子が(勝負どころで)頑張って追ったり」11人で必死に守りきるぞ、というエネルギーが出てくることを期待していたが、指揮官の予想以上の執着心は表現されず、勝ち切ることができなかった。

 昨年から先発を務める篠木が「(昨年は)自分がもっと責任感もってやれば変われたと思う。後悔が多い」と語るように、より責任感や執着心を持って、プレーしなければならないことは理解している。

 だが、まだまだ表現できていないのが現状だ。それだけに篠木は「3年生が頼りにならない部分が大きいので、もっと責任感を持ってやりたいです。慰め合いとかじゃなくて、しっかり悪いプレーは悪いと言って、いい意味でバラバラにならないといけない」と誓った。

「福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」では全国から集まった強豪の強さをピッチの上で体感。彼らの勝利に対する強い姿勢なども学んだ。「(選手権予選)決勝で尚志を倒したい」(篠木)という目標へ向かって、いい意味でバラバラになって、厳しさを求め合って、帝京安積は勝つチームに変わる。

(取材・文 吉田太郎)

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