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「選手権パレードヘの恩返し」で藤枝市役所が4連覇達成=全国自治体職員選手権

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4連覇達成を喜ぶ藤枝市役所イレブン

 第46回全国自治体職員サッカー選手権大会は9日に最終日を迎え、伊勢フットボールヴィレッジで準決勝と決勝を行い、藤枝市役所(前回優勝枠)が4年連続31度目の優勝を果たした。

 準決勝では函館市役所(北海道第1代表)に8-2、決勝では鎌倉市役所(南関東第1代表)に11-0で大勝。圧倒的な強さを見せつけた。主力は、地元の強豪である藤枝東高藤枝明誠高出身の20代。決勝で4得点を挙げた村松一樹も藤枝東高のOBで全国大会経験者。「明誠高が甲子園で1勝してくれたら(市民は)盛り上がれるぞと期待していましたが、僕たちは優勝しないと喜んでもえらないぞと思っていた部分もあって、プレッシャーはありましたが、全員で一丸になって優勝できたので、ホッとしています」と笑顔を見せた。

 大会に参加している選手は、役場勤務を始めてから自治体チームや大会の存在を知るケースが多いが、藤枝市役所は地元でアマチュアチームの一つとして知られており、サッカーと仕事の両立を考える若い競技経験者が集まって来るため、自治体の中では圧倒的な戦力を誇る。

 主将の中村龍一郎は、中学生の頃から市役所のチームの試合を見ていたという。観光課に所属する中村は「最近、藤枝市の高校は県大会を勝つのも大変だし、全国大会で勝てなくなって来ている。『サッカーのまち、藤枝』の印象が薄まっているのではないかと心配しているところがあるので、僕らからも(全国大会の優勝で)アピールしないといけないと思っていたので、ホッとしている。僕たちが使わせてもらっている藤枝総合運動公園サッカー場は、すごく良いピッチコンディションで、サッカー好きの人がたくさん集まる場所。そういう施設を使わせてもらっていることもあって、この大会は負けられない」と使命感を語りつつ、サッカーの町・藤枝をアピールした。

 中村が高校卒業後、関西学院大を経て市役所に勤務することになった一つのきっかけは、河井陽介村松大輔(ともに清水)とともに第86回全国高校選手権で準優勝した際、地元でパレードを開催してもらったことだという。「藤枝市の人口が約12万人。3分の1にあたる4万人が来てくれました。駅から学校まで、高校生の分際で自衛隊のジープに乗せてもらって、パレードをさせてもらった経験から、逆の立場になりたいと思いました。僕は藤枝が好きなので、藤枝のために働きたいし、サッカーも続けたかった」と明かした。多くの人がサッカーを幅広く見る、知る、プレーする。サッカーを愛する者の多い町であることが、4連覇を果たした藤枝市役所サッカー部の強さを支えている。

 大会は、地方自治体職員の親睦と交流、サッカーの普及と発展を目的に全国自治体職員サッカー連盟が主催し、日本サッカー協会が後援するもので毎年開催されている。次回は、大分開催。2019年の有力開催地は福島県で、2010年の東日本大震災以来、サッカー施設としての機能を失っているJヴィレッジでの開催が計画されている。2019年春に予定される完全復旧後、初めて開催される全国大会になる可能性が高まっている。藤枝市役所が勝ち続けるのか、止めるチームが現れるのか。中村は「行けるところまで記録を伸ばせるように、日ごろの練習から謙虚に取り組みたいです」と5連覇を誓って、会場を後にした。

(取材・文 平野貴也)

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