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[SBS杯]ミス、消極的、欠けていた執着心…U-18日本代表は終盤巻き返すも、チリに敗れる

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後半36分、U-18日本代表は交代出場のFW杉田将宏(名古屋U-18)が左足シュートを決めて1点差としたが……

[8.10 SBS杯国際ユース第1節 U-18日本代表 1-2 U-18チリ代表 藤枝総合]

 U-18日本代表、U-18チリ代表、U-18チェコ代表、そして静岡ユース(静岡県選抜)の4チームが総当りのリーグ戦で優勝を争う「2017 SBSカップ国際ユースサッカー」が10日、静岡県藤枝市の藤枝総合運動公園サッカー場で開幕した。U-18日本代表対U-18チリ代表戦はチリが2-1で勝利。日本は11日の第2戦で静岡ユースと戦う。

 99年生まれ以降のメンバーで構成されたU-18日本代表は影山雅永監督の下、今年11月に行われるAFC U-19選手権2018予選(モンゴル)へ向けて強化中。初代表組も多く招集される中で臨んだSBSカップの初戦は悔しい敗戦に終わった。

 4-4-2システムを組んだ日本の先発GKは若原智哉(京都U-18)で4バックは右SBが今回唯一のJリーガー・石原広教(湘南)、CB橋岡大樹(浦和ユース)、ゲーム主将のCB中川創(柏U-18)、左SB荻原拓也(浦和ユース)。中盤は伊藤洋輝(磐田U-18)と藤本寛也(東京Vユース)のダブルボランチで右MF堀研太(横浜FMユース)、左MF奥抜侃志(大宮ユース)。2トップは井澤春輝(浦和ユース)と原大智(FC東京U-18)がコンビを組んだ。

 前半、日本は石原が「(全体的に)腰が引けていた部分がありましたし、(チーム、個人的にも)前からプレッシャーをかけていくパワーが足りなかった」と語り、橋岡も「相手が前から来ていて相手のリズムになっていた」と振り返ったように、チリの勢いに対して受け身になってしまい、試合の主導権を握られてしまう。

 1対1の部分でなかなか勝てず、後手に回った日本に対し、チリは自由にボールを動かして攻め続ける。そしてMFアリエル・ウリベ(サンティアゴ・ワンデレルス)の左足ミドルパス一本であわやのシーンを作り出してくるなど、日本を飲み込むような戦いを見せていた。

 攻撃のスピードが上がらない日本はボールを奪われる回数が多く、代表戦に相応しくないような不用意なミスも続いてしまう。20分に自陣でのパスミスから大ピンチ迎えたが、これは飛び出したGK若原がビッグセーブ。逆に28分に原の落としから井澤が右足シュートを放ち、直後には奥抜のスルーパスで井澤が抜け出す。だが、井澤はゴール前でパスを選択してチリDFがクリア。その直後の33分、日本はDFの緩いプレーから先制点を奪われてしまう。

 チリは左スローインからFWイヴァン・モラレス(コロコロ)がターンでDFを抜き去り、その折り返しをMFマルセロ・アイェンデ(サンタ・クルス)が右足ダイレクトでファーサイドのゴールネットへ見事なシュートを決めた。

 日本は伊藤や藤本が縦パスを入れようとし、奥抜の果敢な仕掛けや石原、荻原のオーバーラップなど徐々にやれる部分を増やしていたが、なかなか噛み合わず、0-1で前半終了。若原の好守などによって何とか2点目を与えなかった日本は、後半開始から橋岡と井澤に代えてCB阿部海大(東福岡高)とFW杉田将宏(名古屋U-18)をピッチへ送り出した。

 だが、日本は後半4分、不運なハンドでPKを献上。これをCBトマス・アラルコン(オヒギンス)に右足で決められて0-2とされてしまう。悪循環の続く日本。それでも、後半は一進一退の展開の中で決定的なシーンも作られたが、チリのペースが落ちたこともあって、荻原の突破からのクロスなど相手ゴールに迫る回数も増やした。

 17分に奥抜に代えてMF小林幹(FC東京U-18)、26分には堀と原に代えてMF田中陸(柏U-18)とFW加藤拓己(山梨学院高)を投入した日本は27分、伊藤のスルーパスから加藤が当たりの強さを見せてPAまで前進するが、GKに距離を詰められて決めることができず。それでも30分に伊藤をMF川村拓夢(広島ユース)へスイッチした日本は終盤、川村と藤本を中心に攻撃のテンポが上がり、ワンツーなどダイレクトでの崩しも交えてチャンスを作り出していく。

 そして36分、川村がセカンドボールを繋ぐと、左中間でボールを受けた加藤が巧みにDF2人をかわして中央へ折り返す。これを受けた杉田が大きな切り返しから左足シュートを決めて1点を返した。さらに攻める日本は39分、荻原の左クロスを田中が決定的な形で合わせたがGKがセーブ。前半のシュート3本から後半は10本と大きく伸ばしたものの、日本は2点目を奪うことができず、競り負けた。

 悔しい敗戦。石原は「全然勝てたと思うし、もったいない試合だった」と語り、「立ち上がりから、後半の最後のように圧倒しなければこういうゲームになってしまう。(経験値の浅い選手が多いとしても) こういうゲームをやっていたら上には行けない。勝利への執着心など、もっとチーム全体で持つべきかなと思いました」と厳しく指摘した。

 確かにチリは強さと巧さを兼ね備えた好チームだった、だが、来日から間もなく、決してコンディションが良かった訳ではない。勝てない相手とは感じなかっただけに、伊藤も消極的だった試合を残念がる。「アグレッシブに戦う部分が影山さんも一番言っている部分なので、そこはもっともっと泥臭く、静岡が相手でも戦っていきたいと思っています。(きょうは)迷いもあったので次に繋げていきたいと思っています」。日本は早生まれのJリーガー数人など主力候補数人がいないとは言え、今回招集されたメンバーも実力者揃い。国内での悔しい敗戦をバネに残り2試合は必ず勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
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