[SBS杯]「山梨の“空飛ぶマッチョ”」加藤がダイビングヘッドで劇的決勝弾!
[8.13 SBS杯国際ユース第3節 U-18日本代表 2-1 U-18チェコ代表 草薙陸]
SBSカップ国際ユース大会、チェコとの第3戦は1-0のスコアのまま進んでいた。時計の針は徐々に終わりへと近づいていく中で、FW加藤拓己(山梨学院高)は「まだ呼んでくれないのか? なんでだ?」という焦燥感と戦っていた。水出しのときにも「ギラギラした目を見せて」という無言のアピールを続けて、ついにお呼びがかかったのは残り時間が10分を切ってからだった。だが、影山雅永監督からの指示を聞いているまさにそのとき、日本のゴールネットが揺れて、スコアは1-1。試合はイーブンに戻ってしまった。
それまでは逃げ切りを考えての指示を受けていたのだが、これで指示は一転してシンプルになった。「決めてこい!」という言葉に押されて日本の背番号9はピッチに入る。「ここまでの2試合、何も残せていない。ここで決めないと何しに来たんだということになる」という思いをピッチに入る。交代で入る直前、ベンチに下がるMF田中陸(柏U-18)から言われた「頼む、ゴリ。点を取ってくれ」という言葉も「グッと響いた」。
国際試合のゴール前は戦いの場だ。そして加藤はそういう舞台で輝く男である。
「外国のDFは本当に卑怯なことでもして止めようとしてくる。見えないところで肌をつねったり、服を引っ張ったり……。ああいうのには絶対に負けたくないし、『そっちがやるなら、こっちもやってやるぞ』という気持ちでやっている」(加藤)
激しく当たられれば当たり返し、セットプレーで挑発されれば睨みを利かせて怯まない。下級生のころはその強気が裏目に出てしまうこともあったのだが、「ムカつくけれど、昔みたいにイライラしたりはしない。逆にこっちがイライラさせてやるよというくらいの気持ちでやっている」。戦場であるゴール前で、自分のところにチャンスが来るときを雄々しく戦いながら待ち続けていた。
その好機がやって来たのは、後半のアディショナルタイム。右サイドをDF石原広教(湘南)が破り、中で待つDFとFWが激しく駆け引きを繰り返すシチュエーションである。「(石原とは)練習からクロスに合わせるところを話していて、瞬間のアイコンタクトで『速いボールが来る』と分かった」という読み通り、入ってきたのは低弾道の高速クロス。これに迷わず頭から飛び込む。「あの高さのボールに足で行くやつはストライカーじゃない」(加藤)。あこがれてきた岡崎慎司ばりのダイビングヘッドがこのボールを捉え、ゴールネットが揺れた。
結局、この攻防がラストプレー。加藤の一撃は決勝点となり、日本は屈辱の結末をまぬがれ、ポジティブな空気の中で大会を締めくくることに成功した。加藤は「勝たなくてはいけないところであのゴールを取れたのは大きい。みんなでつないで決めた1点だった」と胸を張った。
この大会を「プロへ行くためにも結果を残すしかない」と位置付けていた山梨の“空飛ぶマッチョ”は、最後の最後でしっかり結果を残し、鮮烈なインパクトとともに大会を後にした。
(取材・文 川端暁彦)
▼関連リンク
●2017 SBSカップ国際ユースサッカー特集
SBSカップ国際ユース大会、チェコとの第3戦は1-0のスコアのまま進んでいた。時計の針は徐々に終わりへと近づいていく中で、FW加藤拓己(山梨学院高)は「まだ呼んでくれないのか? なんでだ?」という焦燥感と戦っていた。水出しのときにも「ギラギラした目を見せて」という無言のアピールを続けて、ついにお呼びがかかったのは残り時間が10分を切ってからだった。だが、影山雅永監督からの指示を聞いているまさにそのとき、日本のゴールネットが揺れて、スコアは1-1。試合はイーブンに戻ってしまった。
それまでは逃げ切りを考えての指示を受けていたのだが、これで指示は一転してシンプルになった。「決めてこい!」という言葉に押されて日本の背番号9はピッチに入る。「ここまでの2試合、何も残せていない。ここで決めないと何しに来たんだということになる」という思いをピッチに入る。交代で入る直前、ベンチに下がるMF田中陸(柏U-18)から言われた「頼む、ゴリ。点を取ってくれ」という言葉も「グッと響いた」。
国際試合のゴール前は戦いの場だ。そして加藤はそういう舞台で輝く男である。
「外国のDFは本当に卑怯なことでもして止めようとしてくる。見えないところで肌をつねったり、服を引っ張ったり……。ああいうのには絶対に負けたくないし、『そっちがやるなら、こっちもやってやるぞ』という気持ちでやっている」(加藤)
激しく当たられれば当たり返し、セットプレーで挑発されれば睨みを利かせて怯まない。下級生のころはその強気が裏目に出てしまうこともあったのだが、「ムカつくけれど、昔みたいにイライラしたりはしない。逆にこっちがイライラさせてやるよというくらいの気持ちでやっている」。戦場であるゴール前で、自分のところにチャンスが来るときを雄々しく戦いながら待ち続けていた。
その好機がやって来たのは、後半のアディショナルタイム。右サイドをDF石原広教(湘南)が破り、中で待つDFとFWが激しく駆け引きを繰り返すシチュエーションである。「(石原とは)練習からクロスに合わせるところを話していて、瞬間のアイコンタクトで『速いボールが来る』と分かった」という読み通り、入ってきたのは低弾道の高速クロス。これに迷わず頭から飛び込む。「あの高さのボールに足で行くやつはストライカーじゃない」(加藤)。あこがれてきた岡崎慎司ばりのダイビングヘッドがこのボールを捉え、ゴールネットが揺れた。
結局、この攻防がラストプレー。加藤の一撃は決勝点となり、日本は屈辱の結末をまぬがれ、ポジティブな空気の中で大会を締めくくることに成功した。加藤は「勝たなくてはいけないところであのゴールを取れたのは大きい。みんなでつないで決めた1点だった」と胸を張った。
この大会を「プロへ行くためにも結果を残すしかない」と位置付けていた山梨の“空飛ぶマッチョ”は、最後の最後でしっかり結果を残し、鮮烈なインパクトとともに大会を後にした。
(取材・文 川端暁彦)
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