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卑怯、不誠実、欺瞞的だったネイマール退団…残されたバルセロナの未来とは?

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バルセロナを退団したネイマール

 歴史的に見て、バルセロナは常にビッグスターを失うことを強いられてきた。ネイマールの退団でさえ、長い歴史で見れば、さほど珍しいものではない。まさにスペイン語でよく言われるフレーズ、「選手は去ってもチームは残る」だ。

 1961年、バルセロナは歴代のスペイン人で唯一バロンドールを受賞したルイス・スアレスを失った。インテルに移籍したスアレスはイタリアで輝きを発揮し、“グランデ・インテル”の一員として黄金期を築いた。

 1970年代に入ると、アムステルダムのアヤックスで活躍して当時世界最高の選手との評価を受けていたヨハン・クライフが、周囲の期待に応えきることなくカンプ・ノウを後にした。また、1980年代半ばにはフットボール界を席巻していた偉大なスター、ディエゴ・アルマンド・マラドーナをほんの2年で失い、セリエAのナポリへと譲り渡した。

 ロマーリオについてはどう触れようか。彼はクライフ監督のもと、1993年から1995年にかけてわずか1年半在籍したのみで、最後までバルセロナの規律を受け入れることはなかった。

 もっと最近でいえば1996年に契約を交わしたロナウドを、その翌年となる1997年に当時の移籍金史上最高額となる40億ペセタ(当時のスペイン通貨)でインテルに移籍させてしまったことも、今回の“ネイマール・ケース”と類似している。誰も望まない中、1997年7月に起こったこの痛ましい移籍劇は、当時デポルティボに所属していたリバウドという、また別のブラジル人の駆け込み移籍をバルセロナにもたらすことになった。

 2005年と2006年に世界最優秀選手に選出されたロナウジーニョも期待された道を歩むことはなかった。ロナウジーニョの退団は痛みを伴い、それは同時にバルセロナから笑みが去った瞬間でもあった。その後バルサはジョゼップ・グアルディオラ監督のもと、クラブ史上最も輝かしい時代を築き上げることになる。リオネル・メッシ、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、カルレス・プジョル、ジェラール・ピケ、セルヒオ・ブスケツ、ビクトル・バルデスら、カンテラ出身の選手とともに――。

■ネイマール移籍が為す意味

 これらすべての事例を通じて示したいことがあるとすれば、それはこの嘘で塗り固められたネイマールのパリSGへの移籍(なぜならネイマールはファン、クラブ首脳陣、そして一部のチームメイトさえも騙していたからだ)が、バルサが目指し続けている頂点への道のりを必ずしも阻害する理由にはならないということだ。前述のクライフ、マラドーナ、ロマーリオ、ロナウド、ロナウジーニョの退団のときがそうであったように、バルセロナはこの痛手を生かし、より良いチームにならなければならない。カンプ・ノウには依然としてメッシという名の世界最高の選手が君臨している。バルセロナは昨年にも増して物事を容易に進められるだろう。なぜならレオさえいれば、すべてがよりずっと簡単になるのだから。

 ネイマールのパリSGへの移籍劇が描かれ始めたのは今から遡ること数か月前のことだ。2017年6月の時点で、両者は契約内容のすべてにおいて合意に達していた。契約年数、報酬額、肖像権、手数料(異なる4人の人間に支払われる)に至るまで――。さらにパリSGは、ネイマールのバルセロナ加入にまつわる一連の騒動によってスペインの国税庁が彼や彼の家族に課す可能性のある罰金についてまで面倒を見るつもりだったという。

 今回の移籍の裏には、2017年7月が終わるまではオペレーションを完了できない“ちょっとした”事情があった。ネイマールは2016年10月にバルセロナと取り交わした契約によって、今年の8月1日をクラブの一員として迎えれば契約延長にかかるボーナス2600万ユーロ(約33億7000万円)を受け取れることになっていたのである。

 パリSGとネイマールが今年の8月になる前の段階で契約合意を発表していた場合、ネイマールと彼の父親はこのボーナスを受け取る権利を失っていた。このネイマールの行動によって欺かれたバルセロナはボーナスの支払いを当然のことながら拒否した。現在は、このブラジル人が依然として2600万ユーロを受け取る権利を有するのかどうか、おそらくはFIFA、もしくは法廷によって下される正式な裁決を待っている段階だ。

 あくまで筆者個人の視点によるものだが、新契約を結んでから1年もプレーしていないネイマールが2600万ユーロの支払いをクラブに要求することは恥ずべきことに見える。人の欲がいかに果てしないかをよく示しているというものだ……。

 ネイマールは世界中にいる他の誰しもと同じように、自分自身について考える権利を有している。レオ・メッシの影から逃れて世界最高の選手になりたいという気持ちを持つ権利も、バルサ時代よりもずっと多くの報酬を得る権利も有している。しかし、それには誠実で透明性のある行動も義務として伴う。それを実行しなかったネイマールは、卑怯で、不誠実で、そして欺瞞的だ。

 ジェラール・ピケが明らかにしているように、ネイマールはメッシの結婚式に出席するためにアルゼンチンのロサリオに集まっていた同僚に対してバルセロナを去るつもりであることを伝えていた。では、なぜクラブの首脳陣に対しては誠実さを失い、その事実を伝えなかったのだろうか?

■バルセロナの今後は?

 スポーツの話題に話を戻そう。今我々の頭に浮かぶ次なるテーマは、ネイマールを欠いたバルサが今後どのようなプレーをするのか、これまでと同じ路線を継続するのかという点である。これに関していえば、バルセロナはネイマールの存在に関わらず、常にいつものバルセロナであり続けるだろう。順位表の上位に圧力を掛け続け、ピッチの上ではボールへのプレッシャーと優雅なプレーの追求を諦めることはない。クラブはよりバランスの取れた、そして卓越したテクニックと強靭なフィジカルを備えた、今よりもさらに良いチームになるべく日々の仕事を継続している。

 クラブが持つアイデアと願いを具体的に視覚化するとすれば、ネイマールに与えられていたポジションの穴を埋めることができる選手……ドルトムントの20歳、ウスマン・デンベレを獲得することだろう。彼とネイマールの違いはただ一つ、デンベレが両利きで、右サイドと左サイドの両方でまったく同じプレーができるということだ。

 また、バルセロナはイニエスタが不在のときでも中盤のクオリティを保つため、リバプールのフィリペ・コウチーニョの獲得も狙っている。さらに、同じく中盤におけるフィジカルの厚みを増すため、すでに中国の広州恒大からパウリーニョを獲得した。

 バルセロナの首脳陣はより総合力のあるチームとなるべく、よりバランスが取れ、より高いレベルの選手層を有することを目指している。クラブがその目的を達成するためには、アルダ・トゥラン、セルジ・サンペール、ムニル・エル・ハダディ、トーマス・ベルメーレン、ドウグラス、そしてここには名前を挙げていない選手も含めて多くの人員を放出する必要が出てくるだろう。8月が終わるまで、時間はまだ残されている。

文=トニ・フリエロス/Toni Frieros
協力=江間慎一郎

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