beacon

[UAチャレンジカップ]一昨年Vの浦和東が八頭に大勝、MF青木「意見を言える良いチーム」

このエントリーをはてなブックマークに追加

先制点を決めて喜ぶFW市川雄一(3年・右)とMF青木兵吾(3年・中央)ら

[8.17 アンダーアーマーチャレンジカップ 浦和東5-0八頭 いわきグリーンフィールド]

 高校12チームが参加する「アンダーアーマーチャレンジカップ2017 SUMMER」が17日、開幕し、いわきFCフィールド、いわきグリーンフィールド、いわき明星大学でグループリーグの第1節と第2節を行った。いわきグリーンフィールドで行われた「リーグ2」の第1節では、前々回覇者の浦和東高(埼玉)が八頭高(鳥取)を5-0で下した。

 ともに3-4-2-1のシステムでスタートした両者だったが、開始早々に浦和東が鮮烈な先制点を挙げた。キックオフの笛が吹かれてから30秒足らず、味方のクリアボールをFW鈴木悠斗(3年)が競り合うと、右サイドのFW横田遥人(2年)がこぼれ球を拾ってクロスを配給。相手ディフェンスがクリアを試みるもボールは真上に飛んでしまい、慌てて飛び出した相手GKに競り勝った180cmの長身FW市川雄一(3年)がヘディングで押し込んだ。

 浦和東はその後も、DF市村悠太朗(3年)のロングスローや、右ウイングバックを務めたDF小林雄太(3年)の突破でチャンスを創出。八頭もDF門脇永治(2年)やDF角秋希(2年)らが体を張って防いだが、前半14分、市村のロングフィードを受けた左サイドバックのDF片岡瑞樹(3年)がMF野口滉平(3年)につなぎ、最後はMF中野音央(2年)が左足で決めた。

 浦和東は前半17分にも、MF青木兵吾(3年)のロングパスから小林が右サイドを突破し、低く鋭いクロスを配給。ニアサイドで鈴木がフリックすると、ファーに走り込んだ市川が右足ボレーを叩き込んだ。鈴木豊監督は「お前のゴールだ!」とアシストの鈴木を賞賛。「普通に入れても跳ね返されるので、工夫とワンクッションにこだわっている」(鈴木監督)という、狙い通りの攻撃で、序盤に3点のリードを確保した。

 一方の八頭は、攻撃パターンが構築できない。ボランチのMF角秋育(2年)がボールを奪ってカウンターを試みる場面もあったが、FW小谷泰淳(3年)やFW横山敢太(3年)が激しいマークに遭い、ゴールに近づかせてもらえず。前半をそのまま0-3で終えることとなった。

 ハーフタイムに1人を交代してテコ入れを図る八頭に対し、浦和東は連戦を意識して「現状のレギュラー」(鈴木監督)という先発6人を交代する。それでも後半14分、左サイドを突破した鈴木のクロスから、途中出場のMF根本駆(3年)が得点し、リードを4点に。さらに同18分には、MF水野尋希(3年)の右CKから青木が頭で押し込み、5-0とした。

 大量リードを奪われた八頭も徐々に押し込む時間が増え、終盤は小谷や横山に加えて、途中出場のFW宇野田翔太(3年)も絡んでファーストゴールを狙った。それでも浦和東のゴールは遠く、0-5でタイムアップを迎えた。

「アイツがいないと、このチームはダメなので」と鈴木監督が全幅の信頼を寄せる青木は、「総体予選の浦和西戦(準々決勝・0-1)など、ずっと決定力に課題があった中で、こうして守備から入って得点が取れたことはよかった」と攻撃に手ごたえ。さらに「天然芝が長くてボールが止まる中で、みんなが声をかけあって、ボールを奪われた場面の対応の仕方について伝えられたのが良かった」とチームを俯瞰した感想も口にした。

 普段採用している4-1-4-1のシステムでは中盤前目の位置に入ることが多いなか、この日は3バックの中央でチームに貢献。「1年生、2年生も多いけど、ピッチの中では年の差は関係なく、みんなが意見を言える良いチーム。みんなが気付いて、みんなが言い合って、もっと良いチームになっていきたい」と関係性の良さを誇った。

 指揮官も「例年に比べて個の力では劣るが、喋れる(声を出せる)選手が多く、組織力がある」とチーム力に太鼓判。「今日は初めて対戦するチームだったので、最初の5~10分は相手に対して何をしたらいいか分析をしながらやろう」と指示を出していたといい、選手たちが見事に期待に応えた形となった。

 鈴木監督は今年が就任5年目。24年間にわたって指揮を執り、日本代表GK川島永嗣らを育てた野崎正治前監督から大役を引き継いだこともあって、「プレッシャーも大きくある」と口にする。それでも「コーチとして先生のもとでやってきたので、今までと同じことを続けながら、違うことにもトライしたい」と自らの色も出しつつ、「全国ではもっといろんなことができないと戦えないのでね」と目指す場所は明確だ。

 総体では県予選で敗退したため、残された全国大会は冬の選手権のみ。「この大会では、ただ勝てばいいというわけではない。今後に向けて修正を重ねながら、結果にこだわってやっていきたい」。2011年度に偉大な前任者と共に出場して以来の大舞台にたどり着くため、“今季最後の夏遠征”となるアンダーアーマーチャレンジカップで、2年ぶり2度目の優勝を狙う。

(取材・文 竹内達也)

●アンダーアーマーチャレンジカップ2017 SUMMER

TOP