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シャルケ内田篤人が歩む復活への道…現状とライバルは?

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内田篤人が復活のシーズンへ

■いわば最後尾からのスタートに

 シャルケ在籍8シーズン目に臨むDF内田篤人の焦点は至ってシンプル。かつての輝きを取り戻せるかどうかに尽きる。直近2シーズンをほぼ棒に振る羽目になった右膝の重傷(+筋肉系の軽傷)を乗り越え、プレシーズンキャンプをフルに消化。あとはチーム内での生存競争を勝ち抜き、レギュラーの座を射止めるだけの段階に入っている。

 DFBポカール1回戦で遠征メンバーから漏れたとおり、現在の立場は芳しくない。ドメニコ・テデスコ新監督の基本システムは3-4-3で、内田にとっては右ウイングバックが最も肌に合いそうなポジションになるが、テストマッチでは不慣れな左ウイングバックで試される機会が多く、思うようにアピールできなかった。いわば最後尾からのスタートとなり、日々のトレーニングで指揮官の信頼を掴むのが最初の課題になる。

 まずは8月19日に控えるライプツィヒとのブンデスリーガ開幕戦で、7人のベンチ入りメンバーに入れるかに注目だ。現在のシャルケは負傷中のアレッサンドロ・シェプフを除き、全選手を起用できる状況にある。トップチーム登録のフィールドプレーヤーは27人に上るが、そのうちドニス・アブディジャジとシドニー・サムは構想外で、レンタル先を模索中のベルナルド・テクペティとともに退団が濃厚。この4人を除く23人が開幕戦のメンバー入りを目指す。篩い落とされるフィールドプレーヤーは7人だ。

■個性豊かなライバルたち

 内田が右ウイングバックとして構想に入った場合のライバルは、ダニエル・カリジューリとコケになるだろう。サイドアタッカーが本職の前者はプレシーズンマッチでまずまずの適性を示し、DFBポカール1回戦でも先発フル出場。後者はもともと右サイドのスペシャリストで、攻撃色の濃いカリジューリよりディフェンスが安定している。もちろん、ブンデスリーガでの実績に関しては内田が圧倒的に上だ。カリジューリもドイツでの経験が長いが、トッププレーヤーの一人に数えられた試しはない。

 ただ、内田がリーグ有数の実力者と称されたのは右サイドバックとして。ウイングバックで飛躍を遂げるには、攻撃力、とりわけ得点力を高める必要がある。実際、マルクス・バインツィール前体制下で重宝されたシェプフは、無尽蔵のスタミナと高い得点力を武器に、レギュラーの座を勝ち取った。負傷離脱中のため起用法は定かではないが、このオーストリア代表MFも内田の前に立ちはだかる可能性はある。

 さらに“ダークホース”も存在する。下部組織から昇格を果たしたルーク・ヘメリッヒだ。中国ツアー中のベシクタシュ戦で躍動的なプレーを披露した19歳の新鋭で、豪快な左足ミドルでゴールまで奪っている。同じユース上がりのセントラルMF、ウェストン・マッケニーとともにサプライズを提供するかもしれない。

■強いシャルケを知る希少な古株に

 今季のシャルケは6シーズンぶりにヨーロッパのコンペティションに出場しない。ブンデスリーガとDFBポカールの戦いに照準を合わせられる状況だ。この日程的な余裕が内田を含むバックアッパーたちのマイナスに働く恐れはある。欧州カップ戦出場クラブに比べれば、ローテーションでレギュラー陣の疲労を取り除く必要がなく、チームの歯車が狂わないかぎり、スタメンの顔ぶれが固定される可能性が高いからだ。

 その中で個性豊かなライバルたちとの競争を勝ち抜いた暁には、当然ながら日本代表復帰が見えてくる。今年5月、バヒド・ハリルホジッチ監督が「(内田が)本当に良いパフォーマンスを取り戻すのを心待ちにしている」と口にしたとおり、2年以上もチームから遠ざかりながら完全に構想外になっていないのは確かだ。

 今夏にクラース・ヤン・フンテラールが退団し、昨シーズンまでキャプテンを務めたベネディクト・ヘベデス、今季から主将の重責を担うラルフ・フェーアマンに次ぐ古株となった内田。強い時代のシャルケを知る数少ない生き残りで、その経験は何にも代えがたく、シャルカーたちの間での人気も衰えていない。もう一花咲かせられるか。

文=遠藤孝輔

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