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[adidas Cup福岡]“華麗なる猛虎”東海大福岡が3連覇達成!松山工は今年も決勝で屈す

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東海大福岡高イレブンが指で3連覇を示す「3」のポーズ

[8.18 adidas Cup2017福岡決勝 東海大福岡高 1-0 松山工高 グローバルアリーナ]

 九州を中心とした西日本の強豪12チームが優勝を争う「adidas Cup2017福岡大会」は18日に決勝戦を行った。昨年決勝と同カードとなった東海大福岡高(福岡)対松山工高(愛媛)戦は1-0で東海大福岡が勝利。東海大福岡は3連覇を達成した。

 “華麗なる猛虎”こと東海大福岡が攻守においてほぼ隙を見せずに頂点に立った。決勝戦は立ち上がりから互いがエネルギッシュな攻防に。3分、松山工のFW向井和哉(2年)が足裏を使ったトリッキーなドリブルで中央を1人で突破して決定的なシュートを放つも、東海大福岡GK今村勇介(3年)がコースを消し、こぼれ球を狙ったMF山口結生(1年)の左足シュートは枠を外れた。

 5分を過ぎると、東海大福岡が3人4人の連動した崩しでシュートを連発する。CKからFW川本侑磨(2年)のヘッドがクロスバーを叩き、MF田伏正昂(3年)のドリブルシュート、MF田原佑真(2年)のミドルシュートがゴールを襲った。

 だが、松山工は対人、空中戦で抜群の強さを見せつけるCB志摩奎人主将(3年)がシュートをブロックし、16年U-16日本代表候補GK伊藤元太(2年)が190cm近い長身を活かしたセービングを見せるなど簡単にはゴールを許さない。

 それでも東海大福岡は14分、左サイドでDFと入れ替わった田伏が縦へ持ち込んで中央へパス。これを受けた川本がDFをわずかにずらしてから右足シュートをゴールへ突き刺した。

 松山工は昨年の決勝、一昨年大会でも東海大福岡に敗戦。坂本哲也監督は「意気込みさせ過ぎて、前に、前にバランス崩してやり過ぎた」。リベンジへの強烈な意気込みが、空回りしてしまい、チームの守りがバラけて、被シュート数が増えてしまった。

 前半半ばを過ぎると松山工がボールを握って攻める時間を増やす。そして、短いパスを連続で繋ぎながら、DFの背中を狙う動きを続けるなど、ギャップを作る作業を繰り返していた。だが、大丸忠監督が「(指示しているのは)ポジショニングだけですね。スタートポジションへ攻守において速くつけと言っている。そこだけですね」という東海大福岡の牙城は崩れない。

 ポジショニングにこだわって隙を消す東海大福岡は、相手のパススピードが落ちれば、CB河原佑哉(2年)やCB冨士田康人(2年)らがパワーを持ってボールを奪い取り、一気にカウンターへ持ち込もうとしていた。

 そして、カウンターから決定的なシーンも作り出す。大丸監督が「ウチは(特別な個がいないため)一人ではできない。チームでやって、その先に自分の良さを出していく。バラバラになったら能力の差が出てしまう」という東海大福岡は個々がフリーランなどチームとしてやるべきことを徹底しながら、個性も発揮する。そしてMF吉行豊輝(3年)や田原の突破が松山工にプレッシャーをかけた。

 一方、MF大森陸(2年)の直接FKを伊藤がファインセーブするなど1点差のまま食い下がった松山工は、後半7分に右FKから向井がヘディングシュートを放ち、16分にはセカンドボールに反応したMF須賀更汰(1年)の右足ミドルが枠を捉える。そして、28分には右SB酒井佑斗(3年)が相手DFと入れ替わってゴールへ迫り、直後には右CKから志摩がヘディングシュート。だが、最後まで1点を奪えず。迫力あるボール奪取と畳み掛けるような連続の崩しなどでも強さを発揮した東海大福岡が松山工を返り討ちにした。

 東海大福岡はエースMF橋本祐汰主将(3年)、松山工も主力のFW石井隆之介(3年)、MF今吉航大(3年)、MF芳之内啓(3年)が怪我のために不在だった。その中で東海大福岡は今大会5試合で19得点を叩き出した攻撃力とボールを奪い取る強さ、スピーディーな崩し……特に準決勝の後半半ば以降や決勝戦の前半など“華麗なる猛虎”のキャッチフレーズ通りのサッカーを展開して優勝。橋本は自身不在の大会で掴んだ優勝に危機感を募らせる一方、「(チームでは)準備とか、体の向きとか、呼ぶ声とか、3人目4人目とかこだわってやっています。きょうみたいに前からどんどんプレスでハメて、そこからボールを逃がして、繋いで、ゴール前のアイディアとか、練習からやっているように崩してゴールを決められればいい」と精度を高めてきている自分たちのサッカーへの手応えも口にしていた。

 東海大五時代に14回の選手権出場を果たしている東海大福岡は、選手権予選4連覇中の東福岡高や筑陽学園高、九州国際大付高などが優勝を争う激戦区・福岡を制すことができるか。ボールを奪った後に保持するところなど、向上させなければいけない部分はまだまだある。そして「一人ひとりがサボらないでプレーしたい」と語った吉行は「この大会で優勝したんで、このままの勢いで東福岡も倒して選手権に出たい」。目標は選手権。3年連続で「adidas Cup福岡大会」優勝を果たした東海大福岡が、今年こそ選手権予選も制す。

(取材・文 吉田太郎)

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