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[MOM2197]延岡学園GK阿萬薫秋(2年)_PK2本阻止の守護神は個性派集団の“マイペース”担当

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PK戦で2本をストップしたGK阿萬薫秋(2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.18 アンダーアーマーチャレンジカップ 延岡学園1-1(PK4-2)明秀日立]

 規定の前後半60分を1-1で迎えたPK戦、延岡学園高のGK阿萬薫秋(2年)が会場を大きくどよめかせた。170cm強という小さい身体ながら、鋭いステップで2本をセーブ。“マイペース”な個性を持つ守護神が、ここ一番の勝負強さを強豪校相手に見せつけた。

「どっちに飛ぼうとは考えていなかった」という2年生GKは、先攻となった相手の1人目キッカーが長い間合いの後にシュートモーションへ入ると、迷わず右に向かって横っ飛びを見せる。ボールを真横へしっかりはじき出し、「先攻有利」の流れを一気に逆転させた。

 続く味方が成功して迎えた2人目も、1回目と同じテンポで右にジャンプし、再びブロックすることに成功。「身体が反応しただけ」とあっさり振り返ったが、チームを初タイトルに一歩近づけるビッグプレーだった。

 他の選手と同様に、就任4年目の大羽洋嘉監督がスカウトしてきた阿萬は、宮崎市の街クラブであるアリーバFCの出身。延岡学園がある延岡市までは距離があるため、現在は寮生活を送っている。入学の理由は「ここだけが誘ってくれたから」。中学3年時に「高いところで遊んでいた時に落ちてしまって、骨折した腕にボルトを入れたので、高校の練習会はどこも行けなかった」のだという。

 これまで「PK戦を得意だと思ったことはなかった」そうだが、「1対1が得意。(不利な状況で)止めようと燃えるタイプ」と勝負強さが自らの武器と語る。中学時代には、日本クラブユース選手権(U-15)大会につながる県予選決勝で、PK3本を止めて優勝に貢献しており、大舞台でも「自然体」でいられるメンタリティーを持っている。

 GKは小学校6年生の時、そんな才能を見抜いた当時の監督に「やれと言われた」のがスタート。「最初はフィールドをするためサッカーを始めたので嫌だった」というが、今では「止めたときのうれしさとか、やっぱりGKが好き」と楽しみを見いだしている。

 自らの性格は「みんながおもしろいチームの中では、結構静かなタイプ」と説明。この試合でもPK勝利が決まって、チームメイトが殊勲者の自分ではなく、カメラマンに群がって行った時も冷静さをキープ。試合終了の整列前にフライングして敢行した記念撮影で、指揮官が「また品がないわ」と苦笑いするほど周囲がはしゃぐ中、自らを指さして真顔で写るという“マイペース”っぷりも見せた。

 そんな阿萬だが、今後の目標を問われると「全国大会に出たい」と即答。課題となっている「キックの精度」を高めながら、「もっと責任を持って、チームのためになるプレーをしたい」と意気込んでいる。全国の舞台で活躍するため、そして誘ってくれたチームのため、まずは「アンダーアーマーチャレンジカップ」決勝で優勝を狙う。

(取材・文 竹内達也)

●アンダーアーマーチャレンジカップ2017 SUMMER

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