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[クラブユース選手権(U-15)]鳥栖U-15が4-2のジェットコースターゲームを制し、「クラブの歴史を作る」ファイナルへ

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前半35分、DF末次晃也(左)の先制点を喜ぶサガン鳥栖U-15イレブン

[8.23 日本クラブユース選手権(U-15)準決勝 浦和ジュニアユース 2-4 鳥栖U-15 帯広の森球技場A]

 8月23日、第32回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会の準決勝が行われ、帯広の森球技場Aでは05年以来3度目の優勝を狙う浦和レッズジュニアユースと、4強進出自体が初めてとなるサガン鳥栖U-15が対戦。次々とゴールネットが揺れる激しい試合となったが、勝負どころで前線のタレントが結果を出した鳥栖が最後は上回り、4-2のスコアで死闘を制した。

 序盤からボールを支配したのは鳥栖。攻守で気の利くMF西村洸大が中心となって浦和を押し込んでいく。MF相良竜之介の力強い突破などからチャンスも作り出すと、前半35分にはCKからつながったボールを最後は主将のDF末次晃也が決めて、優勢の鳥栖が先制点を奪い取った。

 もっとも、「ボールは支配できていたけれど、自分たちらしい形は余り作れていなかった。サイドを起点にもっと攻めたかった」と末次は振り返る。「このままだと後半は危ない」という主将の予感は的中することとなる。

 後半から浦和はシステムをダイナミックに変更。3-4-2-1の配置に改め、鳥栖のプレッシャーを外しにかかる。後半開始早々に交代出場のFW工藤孝太がシュートを放つなど前半とは確実にリズムも変わっていく中、後半25分にはスローインの流れからMF木下翼が上げたボールにFW堀井真海が合わせて同点ゴールが生まれた。

 ここから鳥栖が「ミラーゲームを挑むことにした」(田中智宗監督)と浦和に合わせた3バックに変えると、試合はジェットコースターゲームの様相を呈すことに。同点直後の28分、今度は鳥栖MF佐藤聡史が相手ペナルティーエリア内での技巧的なゴールを沈めて再び勝ち越すと、35分には浦和FW佐藤優斗がロングレンジからのシュートを突き刺して、またも同点に追い付く。

 だが、そのさらに3分後、鳥栖DF中野伸哉のクロスからエースFW田中禅が頭で決めて鳥栖が3度目の勝ち越し。鳥栖はアディショナルタイムの40分+1にも佐藤が追加点を奪って、4-2の乱打戦を制圧してみせた。

「いや、本当にタフなゲームでした」と鳥栖・田中監督も苦笑いを浮かべるデッドヒート。だが、二度も同点に追い付かれながら攻め気を失わずに戦い抜いた鳥栖の選手たちのメンタリティーが光ったゲームでもあった。

 今年のチームスタートに際し、指揮官が「個人としての目標はそれぞれあるけれど、チームとしての目標も一つ何か持とう」と呼びかけて、掲げることになったのは「日本一」というチャレンジ。それがあと1勝というところまで迫ってきた。24日の11時から帯広の森陸上競技場にて行われる決勝で当たる相手は、柏レイソルU-15。関東の名門を相手にした戦いで、「鳥栖の歴史を作る」(末次)戦いに臨む。

(取材・文 川端暁彦)
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