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[クラブユース選手権(U-15)]鳥栖U-15が九州勢初のクラセン制覇!!決勝の大舞台でも物怖じせず戦い、関東の名門・柏U-15に打ち勝つ

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サガン鳥栖U-15が全年代を通じて初めての日本一に

[8.24 日本クラブユース選手権(U-15)決勝 鳥栖U-15 2-1 柏U-15 帯広の森陸上競技場]

 8月24日、帯広の森陸上競技場で第32回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会の決勝戦が行われ、サガン鳥栖U-15柏レイソルU-15に2-1で勝利。関東の名門を破った鳥栖が九州勢として初めて同大会のタイトルを手に入れた。

 鳥栖は準決勝に続いてこの決勝でも立ち上がりからゲームの主導権を握る。海外遠征も重ねて物怖じすることがなくなったというイレブンは立ち上がりから躍動した。大会を通じて輝きを見せたFW田中禅、MF中村尚輝、MF相良竜之介、MF佐藤聡史の前線カルテットの攻撃力はこの日も健在。個人での打開と細かい連携での崩しを合わせた攻めで柏を押し込んでいく。対する柏も精度のあるロングボールも織り交ぜつつ、鳥栖ゴールの両脇を巧みに使った攻めを見せるなど、前半から白熱の攻防となった。

 最初の決定機は前半10分の鳥栖。CKに対するカウンターからDF中野伸哉が放ったドリブルシュートがバーを叩く。対する柏も、27分に左右へ揺さぶる攻めから最後はMF斉藤騎斗がミドルレンジから狙うが、これはGK正面をついた。そして迎えた29分だった。試合を動かしたのは鳥栖の10番・佐藤。右サイドから中へと入り、「左足には自信があるし、ボールを受けた瞬間から(シュートを)考えていた」という一撃を放つと、これが「あんなの観たことがない」と鳥栖・田中智宗監督が瞠目し、「あれは相手を褒めるしかない」と柏・飯塚浩一郎監督に天を仰がせる猛烈な弾道でゴールネットへ突き刺さる。本人も驚いた一発だが、決勝の大舞台でも物怖じすることなく、得意なプレーを出し切る姿勢が実ったゴールだった。

 だが、決勝まで勝ち残っていた柏も簡単に折れるチームではない。「ギアを入れ直した」(飯塚監督)ハーフタイムを挟んで確実にペースを取り戻すと、後半から攻勢を強めていく。後半5分の選手交代から主将のDF前田大地が本職でもある右SBに回ると、ここから起点を作り、鳥栖を押し込み始めた。これに対し、鳥栖は後半11分にDF古賀照也を投入して今大会で一つのパターンになっている3バックシステムにシフトチェンジ。中央の守備に厚みを加えながら、相手の攻勢を迎え撃った。

 ここから先は一進一退。どちらに点が入っても不思議はない流れだったが、後半27分にスコアを動かしたのは鳥栖のほうだった。柏のCKに対する鳥栖のカウンターは一回スピードダウンを余儀なくされるのだが、そこからパス&ムーブが繰り返される見事な崩しで柏守備陣を攻略。最後は田中のパスを受けた中野が左足で蹴り込み、決定的な2点目を奪い取ってみせた。

 柏も後半30分にDF新保海鈴が得意の左足FKを角度のない位置から鮮やかに決めて1点差に追いすがったが、「鳥栖は本当にたくましくて、崩れなかった。最後のところに辿り着けなかった」と飯塚監督が脱帽したように、堅陣を崩し切れず。鳥栖DF末次晃也が「両ウイングバックとか、みんなが最後までハードワークしてくれたのが大きかった」と胸を張ったように、鳥栖は連戦の疲労を感じさせない運動量と集中力が光り、2-1のスコアを保ったまま、試合終了を迎えることとなった。

 初の日本一を勝ち取った田中監督は「子どもたちの頑張りが一番の勝因」と語った上で、「クラブのサポートがあって、たくさんの目で子どもたちをここまで観てきた成果だと思う」とクラブ全体でつかみ取った初優勝であることを強調した。一方、敗れた柏の飯塚監督は「鳥栖は王者にふさわしいプレーをしていた。本当に手強いチームでした」と素直に勝者を称えた。

 32回の歴史を誇るこの大会で九州勢の優勝は史上初となる快挙。鳥栖というクラブにとっても全年代を通じて初めての日本一となった。なお、大会のMVPには鳥栖の佐藤、同MIPには柏のMF田村蒼生、得点王は7ゴールで鳥栖の田中と佐藤、そしてFW堀井真海(浦和JY)、MF津久井匠海(クマガヤSC)の4人が並び、同時受賞となった。また浦和ジュニアユースがフェアプレー賞に輝いている。

(取材・文 川端暁彦)
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