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開幕スタメンから先発落ちまで「うまく気持ちの折り合いがついた半年」、新潟の高卒ルーキー原輝綺の現在地

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[8.26 J1第24節 柏1-1新潟 柏]

 右足を痛めたDF矢野貴章に代わって後半19分に出場したアルビレックス新潟のルーキーは、そのまま右サイドバックにおさまった。今季2度目となる途中出場。「難しさしかない」。MF原輝綺は言葉を選びながら答えていく。「体力的に急に上がるのできつさもある。ただ、そんなこと言ってられないので、なんとかチャンスをつくることを意識してました」。

 原が出場したのは、1-1に追いつかれた後だが、柏レイソルが1人少なくなっている状況で、新潟が押し込んでいた時間だった。「試合を見ながら、サイドバックで時間をつくれればいいと思っていた。(自分のところから)2本くらいチャンスつくれたので、そこはポジティブに」。柏の意識が中央に寄ったところで、MFチアゴ・ガリャルドが柏の左サイドバックの裏のスペースへ。原がフリーで走り込み、グラウンダーのクロスを中央へ送った。しかし、中で合わせることができなかった。「アタッキングサードに入ったらサイドバックがああいう動きで裏を取るのが少ない。チアゴ(・ガリャルド)も見てくれていましたし、自分はそういう動きができると思っている」。しかし「あれを得点につなげられないと」と原は反省する。ただ守備の面では抜群の安定感を見せた。対面のFWハモン・ロペスを自由にさせず、「やられなかった」と胸を張った。

 迎えた今季開幕戦。市立船橋高から加入したばかりの原は、高卒ルーキーながら開幕スタメンの座をつかむ。その後も第10節まですべて先発で出場し続け第7節・甲府戦(○2-0)にはプロ初ゴールを記録。5月にはU-20W杯のメンバーに選出され日の丸を背負って戦った。U-20日本代表からチームに合流後もスタメンに戻ったが、最近6試合はベンチからのスタート。“壁”にぶつかっている。「プロのスピードに慣れてきて、自分でやれることもだんだん増えてきた中で試合に出られなくなって、いろいろ悩みました。試合を客観的に見たときに、自分でも『力入っていたのかな』と思うところがあって」。

 そんなときに救いとなったのが、「たまに電話する」という中学時代の恩師の言葉だ。「『高卒の選手がチームを勝たせないととか考える必要はない』と言われて。個人的にはすごく楽になった」。とはいえ、「試合に出ている以上、そういう責任もある」というプロサッカー選手としての重責を忘れているわけではない。「うまく気持ちの折り合いがついた半年でした」。プロ1年目、東京五輪での活躍も期待される男は、確実に成長を続けている。

(取材・文 奥山典幸)

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