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「8月31日に間に合わせるために…」右膝手術乗り越えた長谷部の覚悟

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右膝手術を乗り越え、代表に戻ってきたMF長谷部誠

 W杯出場を懸けた大一番を前に、頼れるキャプテンが日本代表に戻ってきた。3月に右膝を手術し、6月の代表シリーズは不在だったMF長谷部誠(フランクフルト)。W杯アジア最終予選・オーストラリア戦(埼玉)を翌日に控えた30日、練習後に報道陣の取材に応じると、右膝の状態について「膝は問題ない。日に日に良くなっているし、プレーするときも気にならずにできている」と説明した。

「難しいケガだった」。今季開幕からフル出場を続けているが、決して順風満帆の復活劇ではなかった。「頭の中にはずっと8月31日があった。焦ってぶり返しても良くないけど、リハビリの過程でうまくいかない時期に“ラストスパート”をすることもあった。8月31日に間に合わせるために、無理してやってきた部分もある」と率直に明かす。

「明日、いい状態でピッチに立てそうで良かったけど、さまざまなことを考えると、明日の試合に対する思いは強い」。W杯出場を決める試合に出場するのは自身3度目になる。「経験してきた分、プレッシャーを感じるのは少なくなったのかな。プレッシャーを感じすぎるのも良くないし、できることは最高の準備をするだけ。いい意味で今までよりリラックスしている部分はある」と頼もしい。

 今回の合宿には27人が招集されているため、オーストラリア戦では4人がベンチからも外れることになる。「4人、ベンチに入れない選手もいる中で、日本の強みである“チームのために”という思いがひしひしと伝わってくる。ここで勝ってみんなで喜ぼうという思いが伝わってくる」と、チームの団結を強調した。

 27日の合宿初日には練習前にバヒド・ハリルホジッチ監督と約10分間、個別で話し込む姿があった。「監督とは個人的なことはあまり話さない。だいたいチームのこと。『チームの雰囲気はどうだ』というのは毎日のように話している」。指揮官と選手の間の橋渡し役としても、その存在は大きい。

 そんなキャプテンの目から見ても、ハリルホジッチ監督はいつも以上に落ち着いた様子だという。「最終予選は初戦のUAE戦に負けてから、1試合も落とせない状況が続いてきた。ホーム(のイラク戦)でギリギリで勝ったり、アウェーのUAE戦も落としたら終わりというような厳しい戦いだった。監督自身、そういうときよりは落ち着いているのかなと思う」と笑顔で打ち明けた。

 それだけオーストラリア対策が万全ということでもあるだろう。「この試合のためにスタッフは長い間、オーストラリアを研究して、戦い方を考えてくれて、それを短い時間で選手に伝えてくれた。明日は仲間を信じてやるだけ」。選手もやるべきことは整理できている。「監督がやりたいサッカーを選手にハッキリ伝えているし、そこは明確。ミーティングも短めなので」。冗談交じりに笑った長谷部の姿からも、準備は万端であることをうかがわせた。

(取材・文 西山紘平)

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