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[Rookie League]矢板中央がU16全国交流大会出場へ王手!鹿島学園は3点差追いつくも、涙の“敗退”に

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3-3で引き分けたが、上位リーグの矢板中央高がプレーオフ2回戦進出の権利を獲得

[9.3 U16全国交流大会出場プレーオフ1回戦 矢板中央高 3-3 鹿島学園高 時之栖うさぎ島G]

「2017 Rookie League」A Group3位の矢板中央高(栃木)と同B Group1位の鹿島学園高(茨城)が3日、U16全国交流大会(12月開催予定)への出場を懸けたプレーオフ1回戦を戦い、3-3で引き分けた。大会規定により、上位リーグ所属の矢板中央が勝者扱いとなり、静岡学園高との2回戦(代表決定戦)進出を決めている。

 苦しみながらも次ステージへの進出を決めた矢板中央の金子文三コーチは「高校1年生は精神的に安定していない。それが一番怖い」と分析していた。前半はセットプレーから2得点を奪うなど3-0で折り返す楽勝ムード。だが、後半は一転、2本のPKを与えるなど追いつかれて最後は冷や汗いっぱいの勝ち上がりとなり、1年生のメンタリティーの難しさを口にしていた。

 試合は立ち上がりから互いに「気持ちでは負けねぇ!」という気迫が伝わってくるような攻防戦に。その試合は左SB在間陽平の思い切った攻撃参加とシュートなどより攻撃に迫力のあった矢板中央がリードを奪う。

 21分、左サイド後方からのFKをMF野澤元が左足で蹴り込むと、CB長江皓亮がバックヘッドのような形で合わせて先制点を奪う。野澤やMF左合修土がセカンドボールを拾ってリズムを生み出す矢板中央は40分にも敵陣中央でFKを獲得。これを野澤が再び左足で蹴り込むと、今度はFW加藤蒼大が頭で合わせて2-0とした。

 さらに44分には速攻から野澤がスルーパス。これでFW久永武蔵が抜け出し、左足でゴールを破る。ミスもあって崩れた鹿島学園を矢板中央が飲み込む形で前半を終えた。後半の立ち上がりも流れは変わらないように映ったが、1本のPKから流れが一変する。

 後半17分、中盤の混戦を制した鹿島学園はFW橋口永羽が右サイドから縦へ仕掛けてPKを獲得。これをCB豊島朱凌が右足で決めると、鹿島学園はアタッキングサードからドリブルでの仕掛けを連続して矢板中央にプレッシャーをかける。そして19分、今度は右サイドからPAへ潜り込んだFW中村大胡がPKを獲得。これを自ら右足で決めて1点差とした。

 こうなると、勢いは止まらない。39分、鹿島学園は右スローインをDFの背後に落とすと、ゴールラインギリギリで諦めずにボールを残したDF地曳嵐士の折り返しをFW磯部直也が左足で押し込んで同点に追いついた。

 2回戦へ進出するには勝つしか無い鹿島学園は攻勢をさらに強めようとする。対して、次の失点をしなければ勝ち上がりが決まる矢板中央も高い位置でボールを奪って、時間を削ろうとするが45分、鹿島学園にビッグチャンス。相手の連係ミスからの流れで地曳がPA外側で競り勝つと、磯部がGKと1対1になった。シュートコースを消された磯部は抜きにかかったが、矢板中央GK溝口陽日が必死に身体を伸ばして阻止。クリアボールを豊島が左足ミドルで狙ったがGKの正面をついた。

 必死に相手の攻撃を防いだ矢板中央が守り抜き、3-3で試合終了。赤いユニフォームはピッチ上で歓喜のハイタッチを繰り返した。鹿島学園は鈴木雅人監督も「よく戦った」と評価した戦いを見せたが、無念の“敗退”に。豊島は「前半終わってからハーフタイムでも下向かず、みんな『まだ行ける』と言っていたんですけど、あと1点取れなかったのが残念です」と語っていた。涙を流して悔しがっていた選手たちはこの経験をバネに成長し、2年後、ライバルたちを上回る活躍を目指す。

 一方、矢板中央は昨年に続くU16全国交流大会出場に王手。だが、野澤が「前半に幸先よくセットプレーから3点取れたのは良くて、後半余裕を持ちすぎたという点でちょっと受け身になり過ぎたのは反省点でした」と反省していたように、課題をしっかりと改善する。

 金子コーチは昨年アウェーで戦った流通経済大柏高とのプレーオフ2回戦に続き、今年もアウェーで静岡学園と戦う経験ができることに感謝。そしてプレーオフ2回戦へ向けて「(アウェーで普段の)力を出すことは難しいと思いますが、アウェーで戦うメンタリティーの難しさを考えながらトレーニングしたい」と語った。そして長江は「メンバーに入っていない人もいるのでその人達の分も全力で戦いたい」ときっぱり。チームメート達の分も強い気持ちで戦い、今年も全国切符を獲得する。

(取材・文 吉田太郎)
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