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天皇杯躍進の原動力となった“らしさ”欠く…筑波大は中京大に延長戦まで持ち込まれるも初戦突破!

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延長前半6分、勝ち越しゴールを決めた筑波大MF戸嶋祥郎が敬礼のパフォーマンス

[9.4 総理大臣杯2回戦 筑波大4-2(延長)中京大 J-GREEN堺]

 筑波大(関東2)が延長戦の末に初戦突破! 4日、2017年度 第41回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント2回戦が行われ、今年の天皇杯でJクラブ3チームを破ってベスト16入りしている筑波大が中京大(東海2)と対戦。延長戦前半にユニバーシアード日本代表MF戸嶋祥郎(4年=市立浦和高)の2ゴールで突き放した筑波大が4-2で勝ち、大阪体育大(関西3)と対戦する準々決勝へ進出した。

 やられない、だろう――。もちろん、全国大会初戦を普段と同じように一生懸命戦った。中京大相手以上に走って、戦って、攻めることを目指して、白星を勝ち取ろうとした。隙のない戦いで天皇杯躍進を果たしている筑波大。それぞれが、いつもと同じように戦っていたが、わずかのところでボールを奪いきれなかったり、カバーリングが疎かになったりしたことの積み重ねが立ち上がり、そして終了間際の失点を招いてしまった。

 小井土正亮監督も「ちょっと隙があった。やられないだろうという」と一生懸命戦いぬいてJクラブを上回ってきたチームに“筑波らしくない”隙があったことを認める。初戦で延長戦を戦っていた中京大が延長戦で力尽きて上回ることができたものの、選手たちも反省の弁を連発。FW北川柊斗(4年=名古屋U-18)は「とにかく話して修正したいと思います」と改善を誓っていた。

 試合は前半8分、中京大が狙いすましたインターセプトから左サイドへ展開。MF藤島樹騎也(3年=星稜高)が右足アウトサイドで出したスルーパスからFW水野翔太(4年=東邦高)が先制ゴールを叩き込む。

 だが、その後は小井土監督が「前半、失点以外はパーフェクトだった」という筑波大が多彩なパスを操るMF鈴木徳真(3年=前橋育英高)を中心としたスピーディーかつ怖さのあるパスワークで主導権を握る展開に。ユニバーシアード金メダルメンバー3人がベンチスタートだったものの、26分に北川がMF近藤太(4年=真岡高)のループパスでDF背後へ抜け出し、GKの股間を射抜くシュートを決めて同点に追いつく。

 さらに31分には北川の落としから、鈴木徳がスルーパス。「自分の中で新しいサイドバック像というか、自分にしか無いサイドバックというのを体現できている。サイドバックであそこまで入っていける選手はなかなかいないと思っている」という右SB会津雄生(3年=柏U-18)が抜け出して勝ち越しゴールを決めた。

 後半、自陣ゴールライン際でMF大城佑斗(3年=中京大中京高)に入れ替わられて決定的な左足シュートを放たれると、MF西村仁志(4年=野洲高)らが奪いどころを定め、ボールを奪った勢いで一気に前進してくる相手の中京大の攻撃を受けてしまう。

 藤島や大城の攻撃力、対人守備で強さを発揮していた右SB大村海太(4年=藤枝東高)ら個々も存在感を放つ中京大に対し、筑波大は後半10分にMF三笘薫(2年=川崎F U-18)、36分には戸嶋とFW中野誠也(4年=磐田U-18、磐田内定)のユニバ金メダルトリオをピッチへ送り出して、試合を締めに行く。

 だが37分、中京大は西村が右足のスーパーミドルをゴール左上隅へ突き刺して同点。中京大応援席のボルテージも一気に高まった。追いつかれた筑波大は戸嶋や三笘のチャンスメークから中野のシュートがゴールを襲う。だが、逆にアディショナルタイムには中京大の大城にゴールを脅かされるシーンも。勢いのある相手を仕留められなかった筑波大は、延長戦へ持ち込まれることになった。

 それでも日本一に輝いた昨年のインカレ、今年はJクラブ勢相手の激戦と修羅場を乗り越えてきた筑波大は動じない。迫力を増した攻撃で中京大ゴールへ迫ると、延長戦前半6分、右サイドから三笘がドリブルで仕掛けて左足シュート。このこぼれ球を戸嶋が押し込んで筑波大が勝ち越した。

 この後、鈴木徳が接触プレーで足首を痛めて退場するアクシデント。それでも延長前半アディショナルタイム、ハーフウェーライン付近からドリブルによって一人で持ち上がった三笘がPAまでボールを運ぶと、最後はシュートのこぼれ球を再び戸嶋が押し込んで4-2とした。中京大も藤島が決定的ヘッドを放つなど反撃したものの、逃げ切った筑波大が勝利。準々決勝へ駒を進めた。

 決勝まで「4試合やろうと言ってここへ来ている」(小井土監督)という筑波大。ライバルたちからターゲットにされる中での戦いが続くが、Jクラブに勝ち切ってきた原動力となっていた隙無く戦い抜く強さをこのトーナメント戦でも発揮し、決勝まで全4試合を勝ち抜く。

(取材・文 吉田太郎)
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