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35歳の負けず嫌い、長山一也監督率いる法政大“史上最弱の代”が35年ぶりの日本一!

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35年ぶり4度目の優勝を果たした法政大

[9.10 第41回総理大臣杯全日本大学トーナメント決勝 明治大0-1法政大 長居]

 “史上最弱の代”が日本一になった。法政大は総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントの決勝で明治大に1-0で勝利。35年ぶり4度目の優勝を遂げた。2014年に母校の監督に就任した35歳の長山一也監督にとっては、大学4年間すべてを見続けてきた初めての代でのタイトル獲得だ。

 2014年の就任初年度に総理大臣杯・準優勝に加えて、1部復帰を達成。そこから4年目でついに全国優勝。主将のGK関口亮助(4年=浦和ユース)は指揮官を「本当に負けるのが嫌いな監督。誰よりも負けず嫌いな監督」と言う。

 2部でくすぶっていた法政大だったが、長山監督の就任でチームの雰囲気は一変した。関口も「カズさんが来てから法政大はガラっと変わって、成績も段々上がった。確実に言えるのは、私生活から規律をしっかりとする選手を見てくれて評価してくれる。私生活を徹底しろと言われ続け、そこから法政は変わったと思います」と語る。すぐに全てが変わっていったわけではなかったが、関口らは4年間をかけ、じっくりと規律を重視する“長山流”の組織作りに身を委ねた。

 とはいえ、それは簡単なことではなかった。現4年生は1年生時から“法政史上最弱の世代”と叱咤されてきた。「史上最弱と言われて、毎日毎日『こんちくしょう』と思ってやっていた部分はありました」と振り返るとおり。「お前らのせいで負けたんだというくらい、いつも言われてきて。我慢の時期が長かったと思います」。

 それでも、そこで選手たちが気持ちを切らすことはなかった。私生活から規律ある毎日を送っていれば、指揮官は必ず見てくれるという安心感と信頼がひとつの励みとなっていたからだ。今大会ただ一人出場のなかったDF川崎雅哉(4年=静岡学園高)が“人間性”を評価され、決勝の大舞台で初先発へ抜擢されたのも、まさにそれを裏付けるもの。選手たちは各々の立場で組織のために最大限にできることは何か見つめ直し、一人ひとりがチームのピースであろうとした。

 4年生が指揮官の理念の下、各々の立場で在るべき姿を示すと、下級生たちはそれに続き、新たな法政大はつくられていった。3年生のFWディサロ燦シルヴァーノ(3年=三菱養和SCユース)は「昨年の永戸くん(永戸勝也・現仙台)たちのようにサッカーで表現したり引っ張るというよりは、今の4年生は人柄が良くて、みんなおもしろい。ついていこうと思えるし、チームの雰囲気が良くなる存在。それが4年生の力だと思います。それにメンタルが強いです」と先輩たちを慕う。

 長山イズムを叩き込まれた4年生を中心にチームは一丸となり、ようやく今大会で日本一になった。指揮官は「はっきり言うと、4年生が力がない選手が多いチーム」と評する世代での戴冠に「驚きはあります」と話したが、「ただ僕自身が4年間見た学年は、今年の4年生が初めてなので責任もある。彼らに力がないのはわかっていても、できることを個人個人で見出してほしかった」と打ち明ける。

「試合には出ていなくても、スカウティングや様々な仕事、応援を4年生が引っ張ってくれた。自分の力を理解して、やれること、今やらないといけないことを立場、立場で考えて行動してくれた。学生のうちにしないといけないことを、ピッチ外のところでもやってくれた。試合に出ていない4年生も含めての勝利だったと思います」

 関口主将は「スーパースターがいるチームではない」と繰り返す。実際に現時点で4年生にJクラブ内定選手はゼロ。準々決勝で当たった阪南大がJ内定選手3名、準決勝の筑波大、決勝の明治大が同2名を擁していたのと比較しても、個々の能力だけ見たときの“格落ち感”は否めない。それでも法政大はどこよりもチームとして全員で戦い、優勝を勝ち取った。

 主力の多くが下級生という若いチームを“長山体制”4期生の4年生が支えている。ここからどのように熟していくか。冬のインカレの前に、まずは5位に甘んじているリーグ戦で快進撃をみせたいところ。頂点を獲った“最弱世代”の大学ラスト4か月が始まる。

(取材・文 片岡涼)
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