beacon

[プリンスリーグ関西]途中出場のエースFW町野修斗が1G2A。競争激化の履正社が草津東を下し、4位浮上

このエントリーをはてなブックマークに追加

履正社高のU-18日本代表候補FW町野修斗は交代出場で1ゴール2アシストの活躍

[9.16 高円宮杯プリンスリーグ関西第14節 履正社高 4-0 草津東高 履正社高G]

 『高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プリンスリーグ関西』は16日に、第14節1日目を実施。5位・履正社高(大阪)と9位・草津東高(滋賀)との一戦は、後半に4点を奪った履正社が4-0で勝利した。

「ボールも動いて、人も動くウチらしいサッカーができた」。試合後、平野直樹監督が笑みを浮かべる会心の出来で、履正社が勝ち点3を勝ち取った。終わってみれば大差がついたゲームだったが、平野監督が「ビルドアップをもう少ししっかりすべきだった」と振り返ったように、前半から全てが上手く行ったわけではない。

 序盤は前からボールを奪いに来た草津東をかわし、MF坂本樹(3年)らが低い位置から積極的に縦パスを展開すると、ゴール前では「左MFからトップに入って、ノビノビと本来の良さを出してくれている」(平野監督)というFW野口天葵(2年)らが好機を作ったが、1点が奪えないまま時間が経過した。

 ゴールへの積極的なチャレンジを見せる一方、「縦に急ぎ過ぎて、相手にボールを渡すことも多かった」(MF安羅修雅、3年)ことが仇となり、スペースを狙ったFW栗山高季(2年)と渡邉颯太(1年)の草津東2トップに隙を突かれる場面も見られた。前半27分には、渡邉にゴール前フリーで抜け出されたが、懸命に戻ったDFがスライディングでシュートをブロック。両者、無得点のまま前半を終えた。

 消化不良のまま終えた前半から一転し、後半からは履正社が猛攻を開始。ゴールラッシュの火ぶたを切ったのは「練習での出来がイマイチだった」(平野監督)との理由で、残り45分からの起用となったU-18日本代表候補のFW町野修斗(3年)だ。

「後半から出てもやれる自信はあったし、結果を出すしかないと思っていた」と意気込み十分でピッチに入った町野は、後半2分に左サイドでボールを受けると、鋭い突破から放ったシュートをゴール右隅に突き刺して早々に得点を記録。均衡を崩す一撃でチームに勢いを与えるとともに、安羅が「起点になれる町野が入って、全員が連動する履正社らしいサッカーができた」と振り返ったように、ポストプレーで後方の果敢な飛び出しも引き出した。

 先制点以降は、履正社が厚みのある攻撃で草津東を押し込み、28分には左サイドからのボールを中央で受けたMF弓場大輝(3年)がダイレクトシュートを決めて2点目をマーク。33分には町野のスルーパスがPA右に通ると、2列目から飛び出したMF島里将伍(2年)が加点した。試合終了間際の43分にも、町野のパスからFW茨木諒佑(2年)がダメ押しとなる4点目。4-0で勝利した履正社が4位に浮上した。

 今季の履正社は第7節から3連敗を喫するなど波に乗り切れないシーズンを過ごしている。東海大仰星高と対戦した前節も0-1で敗れたが、前期からの変化も見られ、この日は前節のスタメンから6人の入れ替えを実施。「町野のチームではないし、彼にもスタメンの保証はない」と平野監督がキッパリと言い切ったように、スタメンが固定されがちだった前期とは違い、ポジションが安泰な選手は一人もいない。チーム内での競争は日に日に激化しており、平野監督は「コンディションが良い選手、動ける選手を使っていく」と話す。

「夏までは出る選手が限られていたけど、今は誰が試合に出ても戦える。攻撃も町野以外に頼もしい2年生がいるし、町野も“負けないぞ”という気持ちを出して点を獲ってくれた。今は良い競争ができている」。そう胸を張るのは安羅だ。激しい競争によって、チームが活性化しつつあるのはプリンスリーグの終盤戦と選手権予選を迎えるここからにとって好都合。3年ぶりのプレミアリーグ復帰と、「夏を落としたので、冬は絶対に獲ろうと皆で言っている。夏の悔しさを忘れず、選手権に絶対出たい」(安羅)という目標を達成するための力になるはずだ。

(取材・文 森田将義)
●2017 プリンスリーグ関西

TOP