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[NB CHAMPIONSHIP U-16]激戦通して1年生が成長した昌平、全国級のU-16大会を無失点で制す!!

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昌平高が全国大会級のU-16大会を制した

[9.18 NB CHAMPIONSHIP U-16 昌平高 1-0 静岡学園高 時之栖うさぎ島A]

 大会中に成長遂げた昌平が頂点に!! 全国大会級のU-16大会、「newbalance CHAMPIONSHIP U-16/2017」は18日に決勝戦を行い、昌平高(埼玉)が静岡学園高(静岡)に1-0で勝ち、初優勝した。大会MVPには昌平のCB西澤寧晟が選出された。

 昨年のインターハイで3位に入り、最近2年間で3人のJリーガーを育てるなど台頭際立つ昌平が、強豪33校の頂点に立った。指揮を執った鈴木琢朗コーチ(青森山田DFとして05年インターハイ優勝)は「足りなかった球際、セカンドボールでやらないといけないと思っていたけれど、この大会を通して高まったと思います。優勝は一つ自信にしていいけれど、(これで終わりではないので)満足することなく、と声がけしたい」。

 昌平の特長であるポゼッションの部分については十分に表現することができず、鈴木コーチも満足していなかったものの、球際、ハードワークという課題を力に変えた3日間。加えて武器を磨き、モノにできれば「もっとできるかな」と期待を寄せていた。

 予選リーグから全5試合無失点で勝ち上がってきた昌平と、準決勝で前回王者・青森山田高を破った静岡学園との注目ファイナル。試合は序盤に昌平が先制点を奪う。後方からゆっくりとボールを動かす静岡学園に対し、前から圧力をかけた昌平は敵陣でインターセプトした勢いそのままに相手ゴールへ迫る。そして9分、敵陣での競り合いで続けて上回ると、左MF大竹琉生がヘディングで競り勝ったボールがPAへ落ちる。これに鋭く反応したFW山内太陽が左足シュートをゴール右隅へ突き刺した。

 山内の準決勝に続く先制ゴールでリードした昌平は、フランクフルトMF鎌田大地を兄に持つMF鎌田大夢がDF間を巧みに抜け出してチャンスメークするなど、素早い攻撃から山内や大竹がフィニッシュにまで持ち込んでいく。29分には中央から仕掛けた鎌田がスルーパス。巧みにDFのギャップを突いた右SB柳田亘輝がシュートへ持ち込んだが、静学GK北口太陽に反応されて2点目を奪うことはできない。

 一方の静岡学園はボールポゼッションでは大きく上回っていたものの、守備意識高い昌平の前に良い形で中盤にボールをつけることができない。また、相手の球際の強さにも苦戦してしまう。強引に中央から仕掛けた攻撃は抜群の運動量を見せていたMF根岸優太と推進力あるMF藤原太征のダブルボランチを中心に局面に人数をかけて守る昌平に奪い取られ、クロスは守備範囲広い西澤と高橋孝太の両CBに確実に跳ね返されていた。

 前半終盤にはスピーディーなパスワークから左SB中辻涼雅、MF小山尚紀が決定的な左足シュートを放ったが、精度を欠いて決めることができない。静岡学園はともに突破力の高いMF松村優太、FW岩本悠輝を投入してセットプレーの数を増やしたが、昌平はGK牧之瀬皓太や両CBが集中して跳ね返す。静岡学園は後半、ボールを失っても、すぐにプレスバックしてスペースを消し、強固なブロックを敷く昌平の守りを崩せず、攻めあぐねてしまっていた。

 昌平は守備の時間こそ増えていたが、元々ポゼッションを得意とするチームは正確なビルドアップも見せていたほか、FW熊田修也や大竹が力強い突破で相手に深く差し込んで見せる。前半、ボールを良く収めていた山内が負傷退場するアクシデントがあったものの、後半は左SB大平奨悟の豪快な仕掛け、シュートが光るなど逆に2点目のチャンス。守備だけで終わらず、攻撃することへの強い意識を持ったまま試合を進めていく。

 CB江本一真やCB阿部健人が最終ラインで昌平の突破を食い止めていた静岡学園だが、相手に差し込まれたことでボールを奪う位置が低くなってしまっていた。ドリブルで1人かわしても、2人、3人がサポートする昌平の壁は厚く、PAまで切れ込むことができない。それでも、後半半ば以降にはカウンターからオープンスペースを活用した攻撃でチャンス。だが、得点を奪うことはできなかった。27分には松村の折り返しに右SB田中大晟が走り込んだが、シュートは枠外へ外れ、43分に右サイドからFW奥田友惟がニア上へ打ち込んだシュートはポストを叩いてしまう。結局、最後まで1点を守った昌平が歓喜の雄叫びを上げた。

 昌平は星稜高、高川学園高、野洲高、興國高、横浜創英高、そして静岡学園と名門、タレント要する新鋭校との戦いをすべて完封勝利。MVPの西澤は「最後まで全員で集中して、プレッシャーかけて後ろで身体を張れたからだと思います」と胸を張り、鎌田は「すべて強豪チームでその中で勝ち抜くことは最初難しいかなと思っていたんですけど、自分たちのプレーで通用する部分も多くて、逆に課題もあったんですけど、自分たちの通用する部分を活かしてプレーできたことが勝因。優勝できたことは嬉しいです」と喜んだ。

 “全国大会級”のU-16大会を制したチームは来年、そして自分たちが最終学年となる2年後の“全国”でも頂点を目指す。柳田は「今まで失点多かったチームが失点無しで優勝できたのは、最後まで集中してみんなで繋がって戦えたからが大きいと思うので、2年後、自分たちがこのメンバーでやれるかは分からないけれども、もう1回このメンバーで戦えるように全員で切磋琢磨して2年後、もう一度日本一になれるように努力していきたい」と誓った。また一つ、インパクトある勝利を果たした昌平。大会中に成長し、頂点に立つ経験をした1年生たちが、選手権やインターハイで日本一を勝ち取る力になる。

(取材・文 吉田太郎)
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【特設ページ】newbalance CHAMPIONSHIP U-16/2017

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