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[プリンスリーグ中国]平日ナイター開催された選手権予選の“前哨戦”。1年生FW岡本の劇的V弾で広島皆実が逆転勝ち!

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選手権広島県予選V候補同士による“前哨戦”は広島皆実高が勝利。1年生FW岡本拓海(11番)が決勝点を決めた

[9.19 高円宮杯プリンスリーグ中国第13節 広島皆実高 2-1 瀬戸内高 廿日市市サッカー場グリーンフィールド]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ・プリンスリーグ中国第13節、広島皆実高-瀬戸内高の広島勢対決が、19日に廿日市(はつかいち)市サッカー場グリーンフィールドで行われ、広島皆実が2-1で勝利を収めた。

 この試合は高校生の公式戦では異例の、火曜日のナイトゲームで行われた。当初は17日に吉田サッカー公園で開催されるはずだったが、台風18号の影響で延期に。代替日が検討された結果、会場を変更してのナイトゲームとなり、選手たちはそれぞれ授業を終えてから会場に集まってキックオフを迎えた。

 両校は10月末から始まる高校選手権広島県予選の2次リーグでは広島工大高、沼田高とともに同グループで、初戦で対戦することが決まっており(上位2校が決勝トーナメントに進出)、前哨戦としても注目を集める一戦となった。

 序盤に主導権を握ったのは瀬戸内だった。前線から厳しくプレッシャーをかけて広島皆実に思うようなパスワークを許さず、ボール奪取後は素早く前線のスペースを突き、藤原雅弥島田章宏らの積極的な仕掛けでゴールに迫る。23分には相手のパスミスを拾った藤原が中央をドリブルで破り、最後は相手GKとの1対1を冷静に決めて均衡を破った。
 
 その後も瀬戸内は持ち味の走力を生かして力強い攻めを続け、前半だけで9本のCKを得るなど優勢に試合を進める。だが広島皆実も好守を見せたGK林龍之介を中心に守備陣が踏ん張って追加点を与えず、そのまま1-0で前半を終えた。
 
 広島皆実は後半、「相手がアグレシッブにプレッシャーをかけてくるのに面食らって、全然パスをつなげていなかった」と仲本洋平監督が振り返った前半を踏まえ、「ビビらず前を向いて、しっかりつなぐように伝えた」(仲本監督)という指示のもと、チームの狙いであるパスワークで攻め崩そうとする。徐々に瀬戸内の運動量が落ちたこともあってゴールに迫る回数は増えたが、ラストパスがわずかに合わないなど、決定機を作るには至らない。
 
 そのまま瀬戸内の1点リードで迎えた36分、試合が大きく動く。瀬戸内守備陣の連係の乱れからフリーとなり、無人のゴールにシュートを打とうとした広島皆実MF藤原悠汰が、後方から追ってきた瀬戸内DF蛯谷空良に倒されてPKを獲得。決定的な得点機会の阻止で蛯谷は退場となり、PKを藤原が自ら決めて同点に追い付いた。
 
 その後は数的優位に立った広島皆実が逆転を狙うが、瀬戸内も粘り強く守り、逆に右サイドを突いた攻めでチャンスを迎える場面もあった。オープンな展開となる中で、4分と表示された後半アディショナルタイムも終わりに近づいた90+3分、劇的なゴールが生まれる。

 右サイドでパスを受けた広島皆実の1年生FW岡本拓海が、ドリブル突破から右足を振り抜くと、瀬戸内GK平松涼太郎の懸命のセーブも及ばず、ゴール左隅に決まって逆転。終盤の2ゴールで試合をひっくり返した広島皆実が、ライバル対決を制した。
 
 同点PKを決めた広島皆実の藤原が「今日の試合、予選の2次リーグ、両方とも勝ち上がった場合は予選の決勝、という3連戦の初戦」と振り返ったように、プリンスリーグの1試合とはいえ、やはり前哨戦の意味合いが強かった一戦。相手を圧倒できなかった内容を踏まえ、藤原は「(相手を圧倒)できないなりに勝つことができた。あと1か月、しっかり意識して修正していきたい」と今後への意気込みを語った。
 
 一方、瀬戸内の安藤正晴監督も、主力数人がケガで欠場しながらも内容は悪くなかっただけに、「(2次リーグでの対戦までの)1か月間に向けて、良いモチベーションを与えてもらった」と前向きにコメント。広島皆実は5年連続14回目の出場、瀬戸内は悲願の初出場を目指す選手権予選へ、それぞれに一定の収穫を得た戦いとなった。

(取材・文 石倉利英)
●2017 プリンスリーグ中国

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