beacon

[AFC U-16選手権予選]躍動した唯一の中学2年生。吉田豊2世(?)に広がる無限の可能性

このエントリーをはてなブックマークに追加

U-15日本代表DF中野伸哉は先制アシストを記録した

[9.24 AFC U-16選手権予選 U-15日本代表 4-0 U-15マレーシア代表 インドネシア]

 24日に行われたAFC U-16選手権予選のマレーシア戦。「今日は攻撃にもしっかり絡んでいけた」と本人が振り返ったとおり、疲れ知らずのオーバーラップを繰り返し、U-15日本代表DF中野伸哉(鳥栖U-15)はチャンスの糸口を切り開いた。

 最大のハイライトは先制点を演出したアシストシーンだろう。ラインを割りそうなボールに対して安易にあきらめることなく追い付いてコントロール下に置きながら、「相手がだいぶ詰めてきていたので、行けるかなと思った」というとっさの判断から縦方向へ急発進してのドリブル突破。「スピードはそれなりにあるほうなので」と謙虚に語った爆発的な突破から、中で動き出したFW吉田有志(C大阪U-15)の頭へピタリと合わせるクロスボールを蹴り込み、見事な先制シーンを形作った。

 FIFAの国際大会が1月1日生まれを区切りとする現行レギュレーションになって以降、中学2年でのU-15代表入りはFW久保建英(現・FC東京U-18)など数人の例があるだけの、いわばエリート中のエリートと言える選抜歴。だが、鳥栖のアカデミー関係者によれば、決して最初から目立つ選手ではなかったと言う。「小4のときに鳥栖U-12のセレクションを受けて、落とされてしまった」(中野伸)という挫折の経験もある。そうした苦い体験も糧にしながら、着実に力を付けてきた選手だ。

 一方で天賦の感覚としか言いようのない武器もある。本来は左利きなのだが、右足のキックも違和感なくこなす、少し珍しいタイプだ。さぞかし練習してきたのだろうと思っていたが、本人によると特別に練習しなくても蹴れたのだというから、生まれつき両利きになれる感覚があったということだろう。

 タイプ的には日本代表DF長友佑都を彷彿とさせるところもあるが、本人はあこがれの選手として鳥栖のトップチームで活躍するDF吉田豊の名前を真っ先に挙げる。タフに守って、しつこく何度も、そして大胆不敵に攻め抜くサイドバックへ。今年1年だけでも大きな進歩を感じさせた男が、来年のアジア最終予選、そしてU-17W杯本大会に向けてどこまで伸びていくのか。その爆発的成長の加速を、期待して待ちたい。

(取材・文 川端暁彦)
▼関連リンク
【特設ページ】AFC U-16選手権2018予選

TOP