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[国体少年男子]“広島スタイル”と伝統の力を発揮。前回王者・広島県が群馬県に4発逆転勝ち!

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後半11分、広島県はFW鮎川峻のゴールで逆転!(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.3 国体少年男子準々決勝 広島県 4-1 群馬県 西条市ひうち陸上競技場]

 “逆転の広島”が4発逆転勝ち! 第72回国民体育大会 「愛顔つなぐえひめ国体」サッカー競技少年男子の部は3日、準々決勝を行った。前回大会優勝の広島県と14年準優勝の群馬県との一戦は広島県が4-1で逆転勝ち。広島県は4日の準決勝で青森県と戦う。
 
 広島県が「ひたむきに、全力を出して、やり続ける」という伝統、そして昨年の優勝監督でもある岩成智和監督(広島ユース)の下、今年も築いてきた「ボールを動かしながら隙を突いていく」“広島スタイル”を発揮。2試合連続で2点差をひっくり返した昨年、そして0-2から逆転勝ちした今大会初戦に続いて“逆転の広島”の強さも示して4強入りを果たした。

 前半4分、まず広島が決定機を作る。MF大堀亮之介(広島ユース、2年)のスルーパスで抜け出したFW鮎川峻(広島ユース、1年)が一気にGKも抜き去ろうとするが、群馬GK高橋怜士(前橋育英高1年)が手にボールを引っ掛けてストップ。ボールを握った広島県は3バックがボールを動かし、スペースを突く動きを見せる3トップへ縦パスを入れるが、マークをズラされずに対応した群馬県DFが跳ね返していく。

 高校2年生の早生まれ選手7人を先発に並べた群馬県は豊富な運動量、力強さによって広島県を押し返す。27分にはこの試合でタイミング良い攻め上がりを見せていたMF千葉剛大(前橋育英高1年)が獲得したこの日初めてのCKから先制点。MF須田晃輝(前橋育英高2年)の左CKにフリーで走り込んだFW冨山悠斗(前橋育英高2年)が、抜群の高さからヘディング弾を叩き込んだ。

 広島県の岩成監督は0-1で終えた前半について「相手の変化を見ることができなかった」と指摘する。だが、後半はサイドを起点に相手の隙ができたところへ選手が飛び込んでゴールを連発する。5分、左サイドのスペースを突いた大堀が中の状況を確認しないままクロスを入れると、FW鮎川とクロスするように右から中央のスペースへ飛び込んだFW棚田颯(広島ユース、1年)が右足ダイレクトで決めて同点に追いつく。

 さらに11分、左サイドでこぼれ球を拾った大堀の左足クロスが中央の鮎川へ通り、最後は鮎川が左足シュートをねじ込んで逆転。群馬も15分に冨山のギャップを突いたスルーパスに交代出場のFW若月大和(桐生一高1年)が走り込んだが、カバーした広島県のDF石上航(広島ユース、1年)がスライディングタックルで阻止する。

 リードを守った広島県は21分、大堀の縦パスで抜け出した鮎川が左足シュートを決めて3-1。広島県はDF疋田勝人(広島皆実高2年)らが相手の攻撃を着実に跳ね返し、またボールを失わない大堀や後半に存在感を高めたMF土肥航大(広島ユース、1年)らが大きな展開を交えてボールを動かしていく。

 終盤、高い位置でのインターセプトを増やした群馬県は右SB山田涼太(前橋育英高1年)がPAへ切れ込むなどあわやのシーンも作ったが、追撃ゴールを奪えず。後半アディショナルタイムにはショートパスを繋いだ広島県がFW岡本拓海(広島皆実高1年)のゴールでダメ押し。広島県が4-1で逆転勝ちした。

 2試合連続で先制点を奪われてしまっていることは課題だが、広島県の選手たちは試合後、「(先生されても)負ける気はしなかった」と口にしていた。岩成監督が「(目指してきたものは)昨年と同じです。広島スタイルを確立しようと」と語る中で築いてきた自分たちのサッカー、そして最後まで継続することに自信を持って戦うことができている。

 昨年の優勝メンバーでもある大堀は「決勝とかそういうこと考えずに目の前の一戦一戦戦うチームであることを考えている。去年は一試合一試合、一生懸命やって、それでできた優勝。今年も一試合一試合やっていきたいです」と力を込めた。優勝まであと2勝としたが、まずは準決勝の青森県戦に集中。そして、“広島スタイル”を表現して勝利し、連覇に王手をかける。

(取材・文 吉田太郎)
●第72回国民体育大会「愛顔つなぐえひめ国体」特集

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