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「非常に難しい選手と自分でも分かっている」 1年分の“思い”を出した槙野

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1年ぶりに代表戦のピッチに立った日本代表DF槙野智章(浦和)

[10.6 キリンチャレンジ杯 日本2-1ニュージーランド 豊田ス]

 代表のピッチから遠ざかっていた。バヒド・ハリルホジッチ監督が日本代表監督に就任して以降、コンスタントに招集されているDF槙野智章(浦和)だが、昨年10月11日のW杯アジア最終予選オーストラリア戦(△1-1)を最後にピッチに立つ機会は訪れなかった。しかし、約1年ぶりに巡ってきた先発出場の機会で、男は意地のプレーを見せた。

 1年前のオーストラリア戦では左SBとして出場した槙野だったが、この日与えられたポジションはCBだった。しかし、「ゲームに入る前に(吉田)麻也とずっと話をしていたし、ビデオを見て相手の特長もつかんでいた」と準備万端でキックオフを迎えると、体を張ったプレーで相手選手から自由を奪い取る。

 182センチの槙野の眼前には191センチのFWクリス・ウッドが構えていたが、空中戦でも怯むことはない。相手よりも先に飛んで長身FWに制空権を握らせず、ハイボールをはね返し続けてニュージーランドに攻撃の形を作らせない。

 後半14分には突破された左サイドのカバーに入り、DF吉田麻也(サウサンプトン)とDF酒井宏樹(マルセイユ)の間にウッズに入り込まれてヘディングシュートを叩き込まれたこともあり、「気を付けていた選手に気を付けていた形で失点したことは反省しないといけない」と唇を噛みつつも、その他の場面では仕事らしい仕事をさせなかったこともあり、「良い準備ができたし、個人の中でやれることはすべて出したと思う」と胸を張った。

 招集はされる。しかし、ピッチには立てない。この1年は、その繰り返しだった。練習中から仲間に声を掛けるなど、ムードメーカーとしてチームを盛り上げる槙野だが、「招集される中で常にベンチに座っていることで、自分の中でも悔しい思いがあった」と胸の内を明かす。

 また、招集されるたびにSBにCBと、プレーするポジションが変わることについての自身の気持ちを打ち明けており、「過去の代表、(アルベルト・)ザッケローニさんや岡田(武史)さんのときもCBとSBで呼ばれていたので、起用する監督にとって非常に難しい選手なのかなと自分の中でも分かっています」と苦笑しながら答えた。「いろいろなポジションができる中でも、一つのポジションの強みを出していかないといけないし、監督がチョイスしたときに計算できる選手にならないといけない」。

 1年ぶりの代表のピッチ、そしてCBでの先発は15年11月17日のW杯アジア2次予選・カンボジア戦以来となったが、「招集されるだけでなく、やっぱりピッチに立たないといけないという思いは…、1年分くらいですかね、今日、その思いは出せたと思っています」と充実した表情を浮かべた。

(取材・文 折戸岳彦)

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