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[MOM471]東洋大GK伊藤俊祐(4年)_偉大な先輩中村航輔は「目標でありライバル」

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東洋大を3連勝に導いた主将GK伊藤俊祐(4年=柏U-18)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.7 関東大学1部L第15節 東洋大1-0駒澤大 東洋大G]

 ポイントをメモしながら試合を見るのだが、後半の東洋大の欄は3分のDF坂本涼斗(1年=柏U-18)のシュートシーン以外ほぼ白紙。後半の展開はそれほど一方的だった。しかし東洋大は主将GK伊藤俊祐(4年=柏U-18)を中心とした粘り強い守備で、駒澤大にゴールを割らせない。自身もビッグセーブを見せた伊藤は「ギリギリの試合が多いが、連続完封は今季初。特に攻撃力が強い駒澤が相手だったので、抑えられたのは自信になるのかなと思います」と好調なチーム状態に手ごたえを語った。

「立ち上がりからロングボールの守備からのチャレンジ&カバーを徹底しようという話をしていた。いい時間帯にセットプレーで点が取れた。そこからは押し込まれてカウンターという感じでしたが、うまく守備で耐えることができた。でも自分のプレーはまだまだ。止めれたのはポジティブなことですが、キックの精度などネガティブなところが出てしまったので、改善していきたいです」

 伊藤は柏レイソルU-18出身。中学1年生の時に入団すると、1学年上に現日本代表のGK中村航輔がいた。「常に一緒に練習してきた。練習から違いは感じてきましたし、常に目標でした」。世代屈指のレベルを肌で感じ、刺激にかえて練習に励んできた。

 思い出は中村が高校3年生、伊藤が高校2年生の7月に戦ったクラブユース選手権。大会初戦の前日練習で、中村が右手首を骨折し、出場が不可能になった。それまで大きな壁として立ちはだかっていた先輩の離脱により、いきなり出番がやってきた。

「せめてチームに迷惑かけないようにという思いでやっていた」という伊藤だが、同年のトップチーム昇格4名、同期で現在トップチームで活躍するDF中谷進之介らを擁したタレント軍団は、守護神の離脱を感じさせない快進撃を見せ、クラブ史上初の大会制覇を成し遂げた。

「当時はチャンスを掴みたいという思いでやっていたので、優勝できた時は本当に嬉しかった。航輔くんはすべてが安定しているGK。シュートストップもそうですし、声で味方を引っ張ることもできる。自分は敵わないなと思いながらも常に目標でありライバルでした。それは今でも変わりません」

 大学最終学年を迎えた今季は主将に就任。当初はFW阿部敬太(4年=東福岡高)が主将に就く予定だったが、留学する関係で伊藤に大役が回ってきた。自身の性格は「キャプテン向きじゃない」と苦笑いを浮かべるも、「試合の中でのキャプテン感を出すこと。それ以外でも手本になれるように」と精神面の成長にもつながる一年になった。

 ただ、かつて札幌や山形でプレーした古川毅監督も「1試合で必ず1回か2回はピンチを防いでくれる」と絶大な信頼を寄せるGKだが、卒業後の進路は未定。一般企業の入社内定は貰っているが、プロでサッカーを続ける夢を諦めきれずにいる。今夏には大宮などのクラブに練習参加をしたが、正式オファーはまだどこのクラブからもないという。

 夢実現のためにも残りのリーグ戦で見せ場を作っていきたい。「結果が出ないこともあると思うけど、最終的にチームの目標としてインカレに出るというのがある。個人としてもプロになりたいという夢をかなえるために頑張りたい」。運命は変えられると信じ、まずは大学史上初のインカレ出場に導く。

(取材・文 児玉幸洋)
●第91回関東大学1部L特集

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